国内

コロナで失職した人、家賃を給付金として受け取る制度もある

アメ横の人通りもまばらに

 新型コロナウイルスの“瀬戸際”は長く続いている。感染を防ぐのはもちろんのこと、生活を成り立たせていくかも喫緊の問題となってきた。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が指摘する。

 * * *
 4月1日以降、営業を休止する飲食店が一気に増えた。それもそのはず。一般市民に「自粛を要請」するということは、飲食店に客が来ないことになる。店を開けていれば仕入れにカネを払い、人を雇っての仕込みも必要だが客は来ない。これでは心身ともに削られてしまう。

 4月3日、この原稿を書いているいま、新型コロナウイルスの感染は全世界的に日常的な光景となり、主要国で国民に現金支給や休業補償といった措置を講じていない国を探すほうが難しくなってきている。当然だ。国民を護るのが国の責務である。「経済を回す」ことも重要だが、現在はその遥か手前の「生活支援」が必要な状態だ。にも関わらず、そこに対する明確な支援策が見えてこない。そのすべがなければ社会不安は広がる一方だ。

 もっとも救済の仕組みがまったく手つかずというわけではない。既存の仕組みの適用や拡大といった形で、打撃を受けた個人店や中小企業への助成制度などは人知れず拡充されているが、「マスク問題」などわかりやすいニュースに埋もれて、伝わりにくくなっているのが実情だ。

●金融庁による金融機関への要請

 3月は期末を迎える企業も多かったこともあり、3月6日の時点で金融庁が銀行等に対して、事業者の資金繰り支援に要請を出している。既往債務についても、「元本・金利を含めた返済猶予等の条件変更について、迅速かつ柔軟に対応すること。また、この取組状況を報告すること」と強めの要請を行った。

 セーフティネット貸付(経営環境変化対応資金)やセーフティネット保証などの活用も含め、業績の悪化した企業の救済を徹底してほしいという要望を出している。詳細は前記事の「新型コロナ禍で経営が切迫する飲食店がサバイバルする方法」にて。

●雇用調整助成金の特例措置のさらなる拡大

 本来「雇用調整助成金」は経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業者が雇用の維持を図るための休業手当に要した費用を助成する制度だ。この制度に4月1日から6月30日までの間、「緊急対応期間」を設け、1か月5%以上生産指標が低下した事業主(全業種)について、休業補償の助成率を最大90%まで上げ、雇用保険被保険者でないパート、アルバイトにまで拡大した。

 事業主がこの仕組み自体を知らずに苦慮しているケースもある。働き手から一言口添えする手もあるかもしれない。問い合わせ先は「雇用関係各種給付金申請等受付窓口一覧」で検索して、厚生労働省の全国の問い合わせ窓口の一覧ページへ。

 その他、事業者向けの制度は経済産業省が「新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ」という文書で「資金繰り」「設備投資・販路開拓」「経営環境の整備」について、助成の仕組みの概要や問い合わせ先が記されている。

家賃など生活者向けの給付金もある

 事業者向けのサポートだけではない。今回の感染拡大の影響で職や住居を失ったり、家賃の支払いに苦慮する人が出てくるはずだ。そうした人向けの「住居確保給付金」という仕組みがある。就職活動中の家賃を原則3か月間、最長9か月間受け取ることができるというものだ。

 東京都の中心部では2人世帯で月収19万4000円、預貯金78万円以下といった条件を満たした場合、毎月6万4000円を上限に”家賃”が支給されるという。条件は世帯の生計を支えていた者が2年以内に職を失い、ハローワークを通じて求職活動をしていることなど。詳細は自治体によって異なるので、都道府県の「自立相談支援機関」に確認を。

関連キーワード

関連記事

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン