ライフ

認知症デイケア施設 新型コロナ拡大でどうなったか?

サ高住にいる母親はどうしているか?(写真/アフロ)

 認知症の85才母の介護を担うことになったひとりっ子のN記者(56才・女性)。新型コロナウイルスの影響で特に重症化することが懸念される高齢者に対し、この情勢においては、様々な配慮が必要となる。高齢者が集まるデイケア施設はどのような状況になっているのだろうか。

 * * *
「3月28日はR姉さんの七回忌よね? 親戚みんな集まるんでしょ?」と母からの電話。

「いま、新型コロナウイルスが大変でしょ? 高齢者が感染すると入院しなきゃならないから、延期にしたんだよ!」

 同じ話に同じ返事を繰り返すのはもう慣れっこだが、この日の電話は4回目。さすがに疲れて、つい語気を強めた。

 世の中、新型コロナウイルス一色だ。毎日感染者や死亡者の数が報道され、医師や研究者や政治家が喧々囂々、母の住むサ高住も訪問自粛で閑散としている。認知症の母もそれなりに、不穏な空気を感じているのだろう。

“外出こそ何よりの認知症対策”と、お出掛けの予定をカレンダーに目立つように記したことも、いまとなっては厄介事を増やすことになった。

 この閉塞感に苛まれているのは私も同じだ。

 フリーランスだが幸いいまのところ仕事に支障はなく、外出先では消毒を励行、用事が済んだらさっさと帰宅。が、電車の中では疑心暗鬼、街のドラッグストア前ではマスクを巡って小競り合い。どこも嫌なムードだ。すると変な力が入ってしまうのか、50代の肉体は全身ガチガチに。

 しばらくパソコンに向かえば立ち上がるのにもひと苦労。首も腰も膝も曲がるところがすべて錆び、動かすたびにギィィと鳴る感じ。歩き出そうにも足が出ないこともある。
「特に高齢者は動かないとすぐに筋力が落ち、歩けなくなる」と、取材した多くの老年医学の専門家が口をそろえるが、まったく他人事ではないのだ。

 ふとサ高住の部屋で恍惚としている母の姿が浮かんだ。何度も電話をして来られるのはうんざりするが、電話が鳴らなければ一気にボケたのではと、そら恐ろしくなる。

関連記事

トピックス

同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン
電動キックボードの違反を取り締まる警察官(時事通信フォト)
《電動キックボード普及でルール違反が横行》都内の路線バス運転手が”加害者となる恐怖”を告白「渋滞をすり抜け、”バスに当て逃げ”なんて日常的に起きている」
NEWSポストセブン
入場するとすぐに大屋根リングが(時事通信フォト)
興味がない自分が「万博に行ってきた!」という話にどう反応するか
NEWSポストセブン
過去の大谷翔平のバッティングデータを分析(時事通信フォト)
《ホームランは出ているけど…》大谷翔平のバッティングデータから浮かび上がる不安要素 「打球速度の減速」は“長尺バット”の影響か
週刊ポスト
16日の早朝に処分保留で釈放された広末涼子
《逮捕に感謝の声も出る》広末涼子は看護師に“蹴り”などの暴力 いま医療現場で増えている「ペイハラ」の深刻実態「酒飲んで大暴れ」「治療費踏み倒し」も
NEWSポストセブン
初めて沖縄を訪問される愛子さま(2025年3月、神奈川・横浜市。撮影/JMPA)
【愛子さま、6月に初めての沖縄訪問】両陛下と宿泊を伴う公務での地方訪問は初 上皇ご夫妻が大事にされた“沖縄へ寄り添う姿勢”を令和に継承 
女性セブン
中村七之助の熱愛が発覚
《結婚願望ナシの中村七之助がゴールイン》ナンバーワン元芸妓との入籍を決断した背景に“実母の終活”
NEWSポストセブン
松永拓也さん、真菜さん、莉子ちゃん。家族3人が笑顔で過ごしていた日々は戻らない。
【七回忌インタビュー】池袋暴走事故遺族・松永拓也さん。「3人で住んでいた部屋を改装し一歩ずつ」事故から6年経った現在地
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で天皇皇后両陛下を出迎えた女優の藤原紀香(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA)
《天皇皇后両陛下を出迎え》藤原紀香、万博での白ワイドパンツ&着物スタイルで見せた「梨園の妻」としての凜とした姿 
NEWSポストセブン
“極度の肥満”であるマイケル・タンジ死刑囚のが執行された(米フロリダ州矯正局HPより)
《肥満を理由に死刑執行停止を要求》「骨付き豚肉、ベーコン、アイス…」ついに執行されたマイケル・タンジ死刑囚の“最期の晩餐”と“今際のことば”【米国で進む執行】
NEWSポストセブン
何が彼女を変えてしまったのか(Getty Images)
【広末涼子の歯車を狂わせた“芸能界の欲”】心身ともに疲弊した早大進学騒動、本来の自分ではなかった優等生イメージ、26年連れ添った事務所との別れ…広末ひとりの問題だったのか
週刊ポスト
2023年1月に放送スタートした「ぽかぽか」(オフィシャルサイトより)
フジテレビ『ぽかぽか』人気アイドルの大阪万博ライブが「開催中止」 番組で毎日特集していたのに…“まさか”の事態に現場はショック
NEWSポストセブン