病院に行っても安心はできない
絶対に感染したくない──そう恐怖に脅えている人は多いはずだ。しかし、新型コロナ以上に深刻な事態が迫っている。
関東地方在住の30代A氏は、2月に利き腕を複雑骨折して全治3か月の重傷を負い、手術後はリハビリのために入院することになった。ところが、リハビリに励んでいた3月末、看護師から突然こう告げられたという。
「ここは4月から新型コロナ患者の受け入れ病棟になるので、別の病棟に移ってください」
A氏が話す。
「私は病棟を変わるだけで済みましたが、看護師さんは『入院リハビリから通院リハビリに切り替えてもらう患者も出てくる』と言っていました。通院に切り替わるとリハビリを受けられる回数も減ってしまうという。骨折とコロナなんて関係ないと思っていたのに、まさか自分にかかわってくるとは……」
同じ病院の別の病棟に移ったA氏だが、それまでお世話になった看護師も担当を外れたという。
新型コロナによる医療危機で本当に恐ろしいのは、一般患者の“命の選別(トリアージ)”が進むことだ。元東京大学医科学研究所特任教授で、NPO法人・医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師が指摘する。