新型コロナウイルスの脅威は、アメリカ合衆国にも例外なく襲いかかっている。このタイミングでアメリカ大統領選挙が進んでいるため、事前にはトランプ圧勝と言われた選挙戦のゆくえが、不透明になってきた。経営コンサルタントの大前研一氏が、激動のアメリカ大統領選挙について解説する。
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中国発の新型コロナウイルスの猛威がアメリカを襲っている。感染者数は3月26日に中国を超えて世界最多となり、死者数も急増している。この新型コロナ禍が、アメリカ大統領選挙の行方にも激震を与えている。
感染拡大するまでは過去と同様の選挙スケジュールで進行していた。「トランプ一強」でブレない共和党に対して、民主党の候補者選びは、序盤で苦戦しながら3月3日のスーパーチューズデーで息を吹き返した中道派のジョー・バイデン前副大統領が、その後の予備選でも左派のバーニー・サンダース上院議員に大勝し、指名獲得がほぼ確実な情勢になった。本稿執筆時点(3月末)でまだサンダース氏は撤退していないが、このままならドナルド・トランプ大統領とバイデン氏の対決になるだろう。
だが、バイデン氏はトランプ大統領と1対1でやり合ったら、コテンパンに叩きのめされる可能性が高い。すでにトランプ大統領はバイデン氏に「スリーピー・ジョー(眠そうなジョー)」という渾名を付け、マイナスイメージのレッテル貼りをして、ツイッターなどでさんざん小バカにしている。