新型コロナウイルスの世界的感染拡大が止まらない。ただ、世界を見渡すと、国によって感染スピードの違いも見て取れる。いったい何がその差を分けているのか。世界各国のコロナ感染状況をウォッチし続けている作家の橘玲氏は、「国ごとの気質や生活習慣の違いも影響しているのではないか」と分析する。
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日本の感染状況が緊迫していますが、各国別の状況を比較してはっきりしているのは、東アジアで感染を抑制できていること。感染源となった中国に加え、韓国、香港、シンガポール、台湾、そして日本と、国によって感染対策は異なりますが、どんな方法をとっても東アジアではそれなりに抑え込めているといえます。
死亡者数で中国を超えたイタリアやスペイン、予想される死亡者数が24万というとてつもない数になった米国などに比べて、なぜ東アジアは(相対的に)うまくいっているのか。
「ワクチン接種率がちがう」「コロナウイルスが変異している」「東アジア人種が遺伝的に感染症に耐性がある」などの生物学的要因が将来、見つかる可能性は否定できませんが、現時点では「気質」と「生活習慣」ではないかと私は考えています。
日本をはじめ東アジア系は、心理学でいうビッグファイブで内向性と神経症傾向のスコアが高いとされます。これは不安感が強く、対人接触を嫌うということでもあります。
不安感が強いと頻繁な手洗いなどをするようになります。内向的だと強い刺激を苦痛に感じるので、たくさんの人が集まるパーティに参加して見知らぬ人と握手やハグをしたり、大声で会話したりということを好みません。これは感染症対策にまさにぴったりです。