体の状態が数値によって如実に反映される「健診結果」。この数字によって生活が制限されたり、通院を余儀なくされたりすることは多い。しかし、誰がどうやって「基準値」を決めているのか、きちんとわかっている人が何人いるだろうか。
例えば、血圧やコレステロール値などは年齢を重ねれば上昇するのが自然。20才の若者と80才の老人が同じ基準でいいはずがないが現在の健康診断での基準値は配慮がなされていない。そこで健康診断でよく目にする数値の「本当の基準値」とは具体的にどのくらいなのか。カテゴリー別に見ていきたい。
◆BMI
コレステロールに関連して気になるのがメタボリックシンドローム。腹囲測定のほか、身長と体重から算出される肥満指数(BMI)によって判断されるが、こちらはどうか。新潟大学名誉教授で医師の岡田正彦さんはこう言う。
「BMIは日本では22が理想だといわれています。しかし、実際のデータに基づいて判断すると、実は22~26が妥当。現在は25を超えると異常ありと判断されますが、26でも問題ないのです。
特に高齢になるとやせている人ほど免疫力が落ち、かぜなどの小さな病気でも悪化しやすい。できれば、食欲が旺盛で少し太っているくらいがいいでしょう」
◆γ-GTP
お酒が好きな人たちの間で気になる数値であり、肝機能の異常を洗い出すとされるγ-GTPだが、岡田さんは数値以前に検査そのものに懐疑的だ。
「この数値でわかる結果は、お酒をよく飲むかどうか、ということだけ。飲酒量に比例した結果が出るだけなので、あまり意味がない。それよりも見てほしいのはASTとALTの値。こちらの方が肝臓の状態を的確に表します。お酒を飲まない人も、鎮痛剤などの副作用で悪い数値が出る場合もあります」