血圧は上(収縮期)が140mmHg以上、下(拡張期)が90mmHg以上だと「高血圧」と診断される。だが、基準値内であっても、毎年「じわじわ上昇」しているようなら要注意だ。ナビタスクリニック理事長の久住英二医師がこう話す。
「血圧が上がるメカニズムは複数あります。たとえば、50歳を過ぎると、ホルモン分泌のバランスが変化することにより血圧が上がってくる。つまり、加齢とともにある程度は上がっていくものですが、特定の兆候を伴っている場合は、たとえ基準値内でも注意が必要です」
警戒しなければならないのが、睡眠時無呼吸症候群を伴っている可能性だ。眠っている間に10秒以上呼吸が停止している「無呼吸」や、呼吸が浅い状態が10秒以上続く「低呼吸」を繰り返す疾患である。
「睡眠時無呼吸症候群の人は呼吸が苦しくなって熟睡できないため、睡眠不足の状態が続き、血圧が上昇してしまいます」(久住医師)
発症すると、強い眠気や倦怠感、集中力の低下など、日中の活動に影響が出る。低酸素状態が続くことで心臓に負担がかかり、心筋梗塞や脳卒中によって突然死に至るリスクもあるという。
逆に、高めだった血圧が「急降下」して基準値内に収まったとしても、「血圧が下がった」と喜んでいられるとは限らない。秋津医院院長の秋津壽男医師が警鐘を鳴らす。