放送作家、タレント、演芸評論家で立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、新型コロナウイルスの影響で次々と公演が中止になっている東京喜劇についてお送りする。
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喪失感が凄い。今朝、ラジオの生放送にむかう直前に志村けん死去の報。無念。コロナが憎い。今から50年前、ドリフのボーヤと作家見習いの小僧としてTBSの稽古場で会った。お互いが“なにもの”でもなかった時代だ……。志村けんのことは次の機会に書く……。東京の喜劇“志村魂”(公演のタイトル)を継承する男たちは、幕が開くのか開かないのかハラハラヒヤヒヤしながら毎日稽古にあけ暮れている。
まずは“「いだてん」疲れ”もやっととれて、宮藤官九郎が5年ぶりに作・演出する『もうがまんできない』、4月2日から5月3日。下北沢本多劇場。大人計画の中にある演劇ユニット「ウーマンリブ」の公演。おもしろくてヨダレが出そうなメンバー。阿部サダヲ、荒川良々、松尾スズキ。そこへ柄本佑、要潤である。見たい。やって欲しい。
こちらも東京コメディでとんでもない冴えをいつもみせる宅間孝行の作・演出・主演で「タクフェス春のコメディ祭!『仏の顔も笑うまで』」。モト冬樹、ダチョウ倶楽部の肥後克広ら。4月22日から4月29日、渋谷の大和田さくらホール。兵庫公演もある。みな連日稽古してるんだ、コロナよ、やらせてくれ。
おなじみ三宅裕司ひきいる熱海五郎一座。6月2日から30日、新橋演舞場。『Jazzyなさくらは裏切りのハーモニー』。17年もやってるのですっかり呼吸も合った座員は小倉久寛、渡辺正行、ラサール石井、春風亭昇太、東貴博。今回のゲストは宝塚だった紅ゆずる、AKB48横山由依。みな“笑い”を作っている。コロナよ、やらせてやってくれ。閉塞感でいっぱいのこの日本、東京に笑いを届けようというのだ。どこが悪いのだ。