教育の指針が変わったり、新たな事実が明らかになったり。教科書の内容は時代とともに大きく変わってきた。
その筆頭が社会だ。有名な事例では、「いい国つくろう鎌倉幕府」と覚えた鎌倉幕府の成立は、1192年から1185年に変わっている(源頼朝がこの時点で守護・地頭の任命権を得ており、実質的に幕府が成立していた)。また最近は、人物名を母国語の表記や発音にならう傾向にあり、大航海時代の探検家「マゼラン」もポルトガル語読みの「マガリャンイス」となり、
「アメリカ大統領の『リンカーン』を『リンカン』と変えております」(東京書籍社会編集部・和田直久氏)
実は今年、令和2年度は小学校の、来年度は中学校の教科書の改訂が控える節目の年。私たちが学んだ “当たり前”も、今の子供たちの教科書では変化したり、消えたりしているものも多い。たとえば、中学校の社会の教科書の変化をいくつか見てみよう。
◆聖徳太子の肖像画→聖徳太子と伝えられる肖像画
教科書でもお馴染みで、ずっと聖徳太子の顔だと信じられてきた「唐本御影」。しかし、実は聖徳太子が死亡してから100年近く後(8世紀)に描かれたとする説が出てきた。絵の人物が持っている笏(しゃく)と呼ばれる板も、聖徳太子の時代には一般化されていなかった。
また、聖徳太子は死後につけられた称号であり、本名は厩戸王(うまやどのおう)であることから、教科書は「厩戸王(聖徳太子)」という記述になっていることが多い。