体の状態が数値によって如実に反映される「健診結果」。この数字によって生活が制限されたり、通院を余儀なくされたりすることは多い。しかし、誰がどうやって「基準値」を決めているのか、きちんとわかっている人が何人いるだろうか。
ここでは「気をつけるべき数値」を見てみよう。基準値を算出した経験を持つ東海大学医学部名誉教授の大櫛陽一さんはこう言う。
「女性は糖尿と貧血に関する数値をしっかり見てほしい。特に若い女性にとって空腹時血糖の基準値は緩すぎると考えています。これを超えたときは、すでに前糖尿病状態になっている可能性もある。また、基準値内でも赤血球の値が以前と比べて急に下がった人は要注意。子宮筋腫などの異常が隠されている場合もあるからです」
糖尿病や婦人科系の病気などは自覚症状もなく進行していることも多く、こういった健康診断で判明することも少なくない。ここは見落とさずにチェックしたい。
ただし数値だけを見てすぐに病気だと判断してしまうのも考えものだ。新潟大学名誉教授で医師の岡田正彦さんはこう言う。
「高齢者の場合、ヘモグロビンの数値が低くても長期間かけて下がってきた人や、若い頃から貧血気味の人もいる。そういう人は治療の必要がないのですが、病院に行くと病名がつけられ、鉄剤を処方されることになる。鉄剤は胃を悪くするので、やたらにのむべきではありません。つまり、どうして値が低いのかといった原因や、過去の状態がわからないと無駄な治療を施されることになってしまうのです。だからこそ、継続することが大事です。いまの値だけを見て基準値で一喜一憂するのではなく、過去と見比べて分析し、自分の体質を知って生活習慣の改善に役立ててほしい」
それでは、どのような医療機関で受けるのが賢いのか。大櫛さんは、こんなアドバイスをする。