国家の危機にどういうメッセージを届けるか。海外の首脳の言葉に比較すると、日本の安倍晋三首相や小池百合子都知事の発する言葉には、良くも悪くも“特徴”が少ないように聞こえる。
たとえば、イギリスのボリス・ジョンソン首相は、3月12日の記者会見でこう語った。
「私は英国民に対して正直に言わなければならない。より多くの家族が、彼らの愛する人たちを寿命に先立って失うことになる。しかし、過去数週間にわたって言ってきたように、我々は現在実施している明確な計画がある」
シンガポールのリー・シェンロン首相の発言も学ぶべき部分が多い。2月8日の時点でシェンロン首相は「恐怖はウイルスよりも有害です。恐怖は、インターネットでデマを拡散したり、マスクや食料品を買い占めたり、集団感染を特定の人々のせいにしたり、我々をパニックに陥らせ、状況を悪化させる可能性があります」と呼びかけ、「インスタントラーメンや缶詰、トイレットペーパーを買いだめする必要はありません」と国民に優しく、そして具体的な行動指針を語りかけた。
新型コロナ対策について2月29日に初めて会見を開いた安倍首相だったが「安倍ポエム」などと揶揄する声が上がり、3月28日の会見でも「引き続き国民の皆様の御協力を賜りますよう、お願いいたします」といった杓子定規な調子だった。コミュニケーション・ストラテジストの岡本純子氏はこう語る。