ビジネス

「マスク2枚で給付金ゼロ」 国民の絶望感と政府への不信感

緊急事態宣言を発令した安倍首相(時事通信フォト)

緊急事態宣言を発令した安倍首相(時事通信フォト)

 東京、大阪など7都府県を対象区域とする緊急事態宣言の発令にあわせ、事業規模だけは108兆円と巨額の緊急経済対策(財政出動は39兆円)が発表された。だが、なかでも国民に関心の高い「給付金」はどうにも不十分で不公平な形となった。果たしてどこが最大の問題で、国民の最たる不満につながっているのか──。ジャーナリストの山田稔氏が検証する。

 * * *
 コロナ感染発覚から2か月以上たって政府がようやく緊急の経済対策を強化しているが、スピード感のなさ、決断力不足、実効性への疑問など批判の声が渦巻いている。

「国民の命と生活を守り抜くことを最大の目的とし、前例にとらわれることなくあらゆる政策手段を総動員することで思い切った措置を講じている」

 4月7日午前の政府与党政策懇談会でこうアピールした安倍首相は、緊急経済対策の財政出動が39兆円であることを明らかにした。108兆円の事業規模と言いながら「真水」は3分の1程度。家計や中小企業などへの現金給付は総額で約6兆円どまりである。

◆前例にとらわれない「思い切った愚策」

 緊急経済対策の柱である現金給付。政府・与党は4月3日、所得の減少を条件に1世帯当たり30万円を支給することを決めた。前日までは20万円と報じられていたから、1日で10万円上積みされたことになる。これまでに明らかとなった現金給付のポイントを整理してみよう。

・給付先は個人ではなく世帯
・対象は2~6月のいずれかの月に世帯主の収入が感染拡大の影響で半分以下に減少し、年収に換算した場合に住民税が非課税になる水準の2倍以下の世帯
・減収幅がそれより小さくても、年収ベースで住民税非課税の水準の世帯も対象
・給付による所得は非課税
・申請方式で、申請先は市区町村窓口
・対象は全5800万世帯のうち約1000万世帯(見通し)
・給付時期は5月中を目指す

 リーマン・ショック後の現金給付は国民1人1万2000円だったから、それに比べると金額的には大幅な増額になるが、今回は国民の多くが期待していた一律給付が見送られてしまった。リーマン時の一律給付は貯蓄に回り効果がなかったという理由からだ。この決定を受けネット上には、「私はもらえるの?」という不安の声に始まり、給付金への不満、怨嗟、疑問の声が集中している。

「これこそ全世帯に支給すべき。あれこれ条件付けないで住民登録している国民にすんなり支給すべき」
「経済対策だよね? 困窮者支援、保護じゃないんだよね。だったら、一律給付にしないと経済の活性化にならないんじゃない」
「全国民一律給付のほうがいい。役所の手間が恐ろしいことになるし、自治体によって対応にばらつきが出そう」
「給料が4割までしか減ってない人は見殺し、世帯主は変わらずとも奥さんが収入半減の家も見殺し…」
「所得減少がコロナ禍によるとの証明はどうやって確認するのか」
「本当に、前例にとらわれない、思いきった愚策ですね」

関連記事

トピックス

田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
暴力団幹部たちが熱心に取り組む若見えの工夫 ネイルサロンに通い、にんにく注射も 「プラセンタ注射はみんな打ってる」
NEWSポストセブン
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン