厚労省のモデル年金は、夫が40年間厚生年金に加入し、妻が専業主婦のケースで標準的な夫婦の年金額を「月額約22万円」と計算している。
「22万円の年金だけではとても生活できない」。そう考えてしまう人がいるのも無理はない。若いうちならまだしも、50代の役職定年を迎え、あるいは60代の雇用延長期間になると給料が増えることは期待薄だろう。その年齢から公的年金を大きく増やすのは難しい。
公的年金が足りなければ、不足分を私的年金でカバーすることを考えたい。個人型確定拠出年金「イデコ(iDeCo)」の活用だ。
イデコは国民が自分で毎月掛け金を積み立て、投資信託などで運用して60歳以降に受給する仕組みで、いわば「じぶん年金」といえる。 “年金博士”として知られる社会保険労務士の北村庄吾氏は「イデコには三重の節税効果がある」と語る。
「第一に掛け金が全額所得税控除の対象になるため、毎年、税金の還付が受けられる。次に運用益や配当も非課税、そして受給開始年齢になって一括で受け取れば退職所得控除を受けることができます。50代以降の人であれば、たとえ借金してでもイデコを毎月の積み立て上限まで掛け続けたいくらいのメリットがあります」
毎月の掛け金の上限は会社員が原則2万3000円、厚生年金に加入できない自営業は6万8000円などと定められている。
年収500万円のサラリーマンがイデコに毎月2万3000円を10年間掛けると、元本や運用益とは別にざっと55万円の節税効果が見込める。