行動自粛が求められるなかで、国民のストレスはかつてないほどに高まっていくだろう。些細なことをきっかけに炎上、諍いの類も頻発するはずだ。われわれはどういう心持ちでいるべきなのか。コラムニストのオバタカズユキ氏が考察した。
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株式会社ほぼ日代表取締役社長でコピーライターの糸井重里氏が、4月9日、炎上した。ツイッターに以下の書きこみをした結果である。
〈わかったことがある。新型コロナウイルスのことばかり聞いているのがつらいのではなかった。ずっと、誰ががが誰かを責め立てている。これを感じるのがつらいのだ。〉(原文ママ)
誰が誰をずっと責め立てているのか、明示はしていない。が、このツイートを見た人の少なからずは、国民が政府を責め立てている、と読んだ。そして、たとえば以下のようなリプライで糸井ツイートを批判した。
〈責任ある立場の人がその責を果たしていなければ、問い正されるのは当たり前。そういうときに「責め立てる」のは当然。現に責任を果たされず苦しんでいる人がいるのに「誰かが誰かを責め立てるのを感じるのがつらい」と一般化して言うのは、苦しんでいる側の苦しみは感じないと宣言するようなもの。〉
〈庶民がふともらす不満に対して、「為政者のやることには一切口を出すな」というパターナリズム満載の思考を「やんわりとした口調」で押し付けようとしてくる人たちが次から次へと登場してくるこの現実がとても辛いわ。(糸井氏は、責められているって感じる側なんだね)〉
〈そりゃあマスク2枚に466億円なんて掛けられてるのを黙ってれば、さらなる愚策に走りそうな安倍政権ですからね。もっともっと声を上げないと、またお肉券だ旅行券だに税金が変わっちまいますからね。〉
映画評論家の町山智浩氏は、さらに手厳しくこんなツイートを投げつけた。
〈糸井重里さん、もうレトリックはいいですよ。言いたいことをはっきり、「庶民はお上に逆らうな」「政府に補償を求めるな」「マスク二枚で満足しろ」「お前らは犬だ」「奴隷だ」と言えばいいじゃないですか。〉
糸井氏が政府擁護、国民批判の意図でツイートしたかどうかはわからない。しかし、ストレスのたまっている国民の多くが、政府のもたつくコロナ対策に苛立ちを覚えていることは確かで、消費者の空気を読むプロ中のプロであるはずのコピーライター糸井氏が、そんな当然の国民感情も汲み取れなくなっているとは驚きだ。老化だろうか。