「なぜ、もっと早く出せなかったのか」、「2週間遅かった」──。4月7日、東京都や大阪府をはじめ、大規模な感染拡大が予想される7都府県に「緊急事態宣言」が出されると、世間からは、こんな“嘆きの声”が漏れた。
この段階ですでに、国内感染者は4000人超。遅すぎるトップの決断と、なんの補償もなしに自宅待機や休業を強いられる国民の悲鳴に、海外メディアも注目した。
思えば、ここに至るまで、安倍政権の対応は疑問視され続けてきた。4月1日に打ち出した「全世帯に布マスク2枚を届ける」方針も国内外で大きな話題となった。
アメリカのCNNテレビは「マスク2枚の表明に国民の怒りが集中」「『アベノマスク』がツイッターでトレンド入りした」と報じ、同じくアメリカのFOXニュースは「エイプリルフールのジョークだと勘違いした人も少なくなかった」と皮肉った。
世界保健機関(WHO)は布マスクの使用を、感染防止の意味では推奨していない。効果が得られるのは、感染者や無症状の感染者が着用した場合だとしている。ウイルスが咳やくしゃみと一緒に飛び散るのを布マスクでブロックすることで、感染拡大を防げるという考えだ。世界では感染防止という観点ではマスクより必須とされるアイテムがある。それらを複合的に使い、ウイルスに立ち向かっているのだ。
まず、もっともグローバルに使われているのが「手袋」だ。ニューヨーク市内では、ビニールやゴム製の「使い捨て手袋」をつけた人の姿が多く見られる。その数は、マスクをつけた人よりも多いほどだ。さらに観察すると、手袋をつけているのは片手だけ、という人も。
「電車の吊り革や手すり、エレベーターのボタンなど、不特定多数の人が触れるものを素手で触らないために手袋をしています。片手だけなのは、素手の方はスマホを操作するからです。いま、ニューヨークではマスクと消毒ジェルよりも、ゴム手袋が入手困難になっています」(ニューヨーク在住ジャーナリスト)