◆向いていない人がいないドラマ
新型コロナウイルスの感染拡大で外出自粛が続き、今、自宅で動画配信を視聴する人が増えている。そんな中、とりわけSNS上で議論を呼んできた配信ドラマがある。蜷川実花監督によるNetflixオリジナルシリーズのドラマ『Followers(フォロワーズ)』だ。
Netflixオリジナルシリーズといえば、昨年『全裸監督』が大きな話題を呼んだが、この『Followers』も2月末に公開されると、「今日のTOP10リスト」の上位に連日ランクインするなど、人気を集めてきた。だが、それ以上に注目すべきは、SNS上での感想が、賛否両論に分かれていることだ。主人公の生き方をどう感じるか。このドラマは観る者の価値観、とりわけ「女性の生き方」についての価値観を浮き彫りにする。
『Followers』の内容を簡単に説明すると、アラフォーの人気写真家・奈良リミ(中谷美紀)と、女優の卵である20代の百田なつめ(池田エライザ)という世代の異なる二人を軸に、“東京の今”を貪欲に生きる様々なライフスタイルの女性たちを描く。蜷川実花監督が創り出す華やかな世界観に加え、沢尻エリカ、土屋アンナ、渡辺直美、水原希子ら豪華キャストがカメオ出演するなど見どころの多いドラマだが、賛否両論を生み出している中心は、何と言っても主人公・リミだろう。ツイッターには「私の物語」「憧れる」と絶賛の声が並ぶ一方で、「ダサい」「古い」の声も挙がる。
感想を二分する理由は何なのか。芸能人をはじめ、女性の生き方に関するコラムや連載を多数持つライター・仁科友里さんに話を聞いた。
「『Followers』は、向いてない人がいない、間口の広いドラマです。まず向いているのは、蜷川実花ファンの人はもちろん、キラキラした世界が好きな人、そういう世界に憧れている人。また、若い女性で世に出たい人、クリエイター志望の人も観るといいと思います。アメリカのドラマ・SATC(セックス・アンド・ザ・シティ)が好きな人にも向いています。女同士で酒を飲んであけすけにセックスの話をするような物語が好きな人ですね。
それからもう一つがお姫様気質の人。今の若い人は堅実と言われていますが、主人公と同世代のアラフォー、アラフィフ世代は青春時代に『なりあがる女』の実例やドラマをたくさん見てきた世代です。現在の自分のポジションにかかわらず、自分に思いがけない良いことが起きる、誰かが素敵なものを運んできてくれるかもしれないと信じられる。そういうストーリーを信じられる人には、向いていると思います。
これらに当てはまらないアンチ・キラキラの人は、一見、向いていないのですが、そういう人は別の視点で見ることができる。矛盾が多く、突っ込みどころが多いので、向いてない人も楽しむことができると思います」