国内

コロナを報じるテレビマン 使命感と恐怖が交錯する現場

「密」を避けるため記者に離れるよう促す東京都の小池百合子知事(時事通信フォト)

「密」を避けるため記者に離れるよう促す東京都の小池百合子知事(時事通信フォト)

 とうとう、新型コロナウイルス感染拡大の影響が、テレビニュースの世界にまで広がった。今までテレビ局関係者から感染者が出なかったわけではないが、それは番組制作、とくにニュース報道の現場からは遠い人たちばかりだった。「三つの密を避けましょう」「社会的距離を」「出勤を減らしましょう」という呼びかけをしながら、画面にうつらないところではなかなか対策をとれずにいるテレビ局の事情を、ライターの宮添優氏がレポートする。

 * * *
「キャスターの間隔を空けて、ひな壇の芸人同士の間隔を空けて…最初は冗談かと思いました」

 新型コロナウイルスの感染拡大の対策があらゆる場所で講じられる中、テレビ局がとった対策に、民放テレビ局の報道番組ディレクター・杉山豊彦さん(仮名・40代)は唖然とした。効果がゼロ、ではないかもしれないが、単なる「やってますよアピール」に過ぎないと吐き捨てる。

「報道番組ではスタッフが数班に分けられています。仮に感染者が出たら、濃厚接触者は自宅待機せざるを得なくなります。今までの仕事のやり方だと、スタッフ全滅して番組が放送できなくなりかねないので、そのような事態を避ける対策として明確に班分けして働く時間や場所がなるべく重ならないようにしました。でも、密接、密閉、密集という環境で仕事をするしかないのが現状。カメラの前の演者は距離をとって撮影に臨んでいますが、打ち合わせ時はみんな肩を寄せ合っているのですから、ポーズとしか思えない」(杉山さん)

 実際に、人気ニュース番組「報道ステーション(テレビ朝日)」のキャスターが新型コロナウイルスに感染したことが発覚すると、報道の現場には今まで「言えなかった」(杉山さん)不満や恐怖を口にし出すスタッフも増えた。

 出演者たちが「リモート出演」するようになった日本のテレビ番組制作現場についても、物申したいと憤る。

「海外のニュース番組では、キャスターが自宅のPCを使って放送するなど現場に出る人間を極力減らすようにしていますが、日本では”ニュースを作る人間は会社や現場に出て当然”というスタンスが崩れません。一次情報を得るために現場へ行く必要はありますが、本当に必要な人だけに絞っているのかと。もちろん、部署によっては出社制限をするなどそれなりの措置が取られてはいますが、局内にはびっくりするような数の人間がいて、みんな普通に働いている。打ち合わせでは、キャスターたちが製作陣と肩を寄せあいながら侃侃諤諤やっている。にも関わらず、放送では”外に出るな”とか”リモート勤務しましょう”とか言うのです。矛盾しています」(杉山さん)

関連記事

トピックス

田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
暴力団幹部たちが熱心に取り組む若見えの工夫 ネイルサロンに通い、にんにく注射も 「プラセンタ注射はみんな打ってる」
NEWSポストセブン
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン