この4月でデビュー40周年を迎えた松田聖子(58)。若い年代には、松田聖子=歌手というイメージしかないかもしれないが、彼女は女優としても素晴らしい仕事をしてきている。今春、『1980年の松田聖子』(徳間書店)を上梓した芸能ノンフィクションライター・石田伸也氏が、“女優聖子”の姿に迫る。
* * *
圧倒的に「歌手」として時間を費やしてきた聖子だが、「女優」としてドラマ・映画に出演したことも少なくない。例えば、聖子の主演第2作『プルメリアの伝説 天国のキッス』(1983年、東宝)は聖子のためのオリジナル作品だった。ハワイ在住の女子大生を演じ、ホテル王の御曹司(山下真司)と日本のサーファーの青年(中井貴一)との三角関係が物語の核となる。
指名された河崎義祐監督は、この時点ですでに「アイドル映画の巨匠」として名を馳せていた。山口百恵や桜田淳子、近藤真彦の主演作も撮っていた。
「聖子さんはシナリオに対して『ここはこうしてほしい』と言うことは一度もなかった。ツカミと言うのか、感覚でパッと芝居をする感じだ。逆に百恵さんは、ゴネることはなかったが、少しでも腑に落ちない点があると芝居ができない。非常に真面目に、理詰めで考える女優ではあったね」