病気は一度治っても再び発症する──そんな「再発の恐怖」をまざまざと思い知らされるのが、毎年多くの死亡者を出しているがんである。がんを最初に告知された際の動揺を乗り越え、つらい治療を経てようやく治ったと思ったのに、「再発です」と医師から告げられたときのショックは計り知れない。
だが、そんな再発の恐怖がつきまとうものの、「がんの種類別の再発率」を公式に示すデータはない。ただし、5年生存率と10年生存率を比べると、再発しやすいかどうかの目安になるという。東京大学医学部附属病院放射線治療部門長の中川恵一医師がいう。
「ごく簡単に言えば、5年生存率と10年生存率を比べてあまり違いがなければ、再発するリスクが少ないと言えます。
例えば、全症例の5年生存率が76.8%で10年生存率が67.8%の大腸がんや、同じく5年生存率74.9%で10年生存率65.3%の胃がんは再発しにくいがんと言えます。逆に5年生存率37.0%、10年生存率15.6%と差が大きい肝臓がんはなかなか完治せず、何年経っても再発するケースが見られます」
2度目の肝臓がんは1度目とどう違うのか。
「肝臓がんが再発する場合、長期にわたる肝臓の炎症が影響して、肝臓内の別の場所にがんができるケースが最も多い。その一方、肺や骨、リンパ節などに転移することもあり、まれに脳に転移するケースがみられます」(同前)