新型コロナウイルス感染は一向に収束の気配がないが、そんななか、あるバラエティ番組が注目を集めている。偉大なスター・志村けんさんが亡くなり、コロナ禍による不安が広がる今、どんなテレビ番組が求められているのか? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
* * *
新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、外出自粛を余儀なくされるなど、重苦しいムードが長期化する中、1つの番組が明るい希望のような存在になりはじめています。
その番組は特番放送を経て今春からレギュラー化された『有吉の壁』(日本テレビ系)。視聴率は第1回が世帯12.8%、個人全体8.5%、第2回が世帯11.4%、個人全体7.9%と民放トップクラスを記録しているほか、ネット上に「笑いっ放しで嫌なことを忘れられる」「やはりこういうお笑い番組が必要」などの好意的な声を集めています。
同番組が凄いのは、笑いだけを追求した“純お笑い番組”であり、しかも絶滅していたゴールデンタイムに放送され、さらにスポンサー受けのいい若年層の支持を得ていること。そのためテレビ業界内でも、「よくチャレンジしたしお見事」「悔しいけど認めざるを得ない」などと羨望の眼差しを受けているのです。
高視聴率と高評価を得ているお笑い番組は『有吉の壁』だけではありません。4月に入ってから放送された志村けんさんの追悼特番や、11日放送の特番『ザ・ドリームマッチ』(TBS系)なども高視聴率と高評価を集めました。なぜ今、純お笑い番組が求められ、どんな可能性を秘めているのでしょうか。
◆『有吉の壁』とギャグつなぎの共通点