誰もが夢見るものの、なかなか現実にならない夢の馬券生活。調教助手を主人公にした作品もある気鋭の作家、「JRA重賞年鑑」にも毎年執筆する須藤靖貴氏が、馬券購入のとき、パドック解説は必要なのか不要なのかについてお届けする。
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レースが終わってしまえば、「パドックからの推奨馬」なんて、そんなものは誰も覚えちゃいません。「次! 先!」が競馬のメンタルだし。しかし私はじっと振り返ってみた。無観客レースのあおりで馬券が買えない身(IT弱者なので)を逆手にとり、グリーンチャンネルで前のレースの検証をしたのだ。これが案外面白い。先を急がず立ち止まるのも悪くない。
調査対象はある土日の中山・阪神・中京で、テレビ中継を見た41レース。
推しの鉄則は人気馬で、推奨馬4、5頭にほぼ入っている。データを取ってみると1番人気(以下、1人)は39レース。2人は38レース、3人は33レースの推奨。上位人気3頭を推したのは28レース。
ある重賞では、推奨6頭が1~6番人気。「そんなん、オレでも言えるやん」と、なぜだか関西弁で毒突いてしまった。ちなみに決着のワンツーは1人2人。3着に9番人気馬が入った。
感心もした。1人を推さなかったのは2レースのみで、的中したのは4歳以上1勝クラス、ダート1200㍍。1、2人を推さず。決着は推奨の3人が勝ち、4人が3着。16頭立てなのに4頭しか挙げず、決然と人気馬を外したのはお見事である。名前をしっかり覚えておこう。
推奨馬のどれかが勝ったのは30回。3着以内に2頭入ったのは31回。3着までを推奨馬が占めたのは9回あった。ちゃんと当たっている。「総スカも?」という意地の悪い予想は見事に外れ。推奨馬のどれかは必ず3着以内に入っていた。
毎日杯(10頭立て)の推奨馬は4頭、1~4番人気だった。決着は2人、1人、4人。3連複の配当は810円。4頭の組み合せは4通りだから、推奨を信じればなるほど当たる。