戦争や紛争に巻き込まれる地域で生き延びるなら、落ちてくる爆弾や流れ弾で死ぬ可能性だけでなく、治安が悪化することで増える強行犯罪や交通事故などを警戒すべきだと言われている。新型コロナウイルス感染拡大による社会不安が広がる中、病気だけでなく、治安の悪化についても警戒すべき状況が生まれつつある。特殊詐欺事情に詳しいライターの森鷹久氏が、活発になりつつある詐欺グループの動向についてレポートする。
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唐突ではあるが、この1~2ヶ月の間に「迷惑メール」が増えてはいないだろうか?
新型コロナウイルスの感染拡大による社会不安に乗じ、ありもしない「マスクを売ります」メールが送りつけられたり、さらに得体の知れない「コロナウイルスの除菌剤販売」を案内するような許されない行為が、新聞やニュースなどでも報じられている。
「トレンドは”給付金”や”融資”でしょう。メールで数十万件ばら撒けば、数ヶ月前には一本もヒットしなかったのが、十数件ヒットするらしい」
こう話すのは、元暴力団関係者で、なりすまし詐欺やオレオレ詐欺にも関与した経験のある男性・K氏(40代)。社会が不安に陥ったほうがよい、それをビジネスチャンスと捉える不届き者が存在すること、そしてそうした連中の最新の動向を次のように解説する。
「まず、外出自粛によって自宅にいる人が増えました。そうすると、何が起こるか。みんなスマホばかり見るでしょうから、そうしたタイミングに合わせてとにかく詐欺メールを送りまくる。コロナウイルスでパニックに陥った人々には、除菌剤とか在庫マスクをこっそり販売するなどのメールが有効でしょう。仕事がなくなった人たちには融資金や助成金を配る、みたいなワンクリック、ツークリック詐欺の案内を送る。世の中が冷静でないからこそ、不安な人々を陥れるのは平時よりいくらか簡単になっているんです」(K氏)
こうした詐欺による被害はすでに複数、発生しており、当局も注意を促していると言うが、パターンが多岐にわたり、一見すると詐欺に思えないような文言、方法で市民にアプローチして来るために、完全に防ぐ手段がない。そして、増えているのは被害者だけではない。
「元詐欺師たちが続々、現場に復帰していると聞きます。詐欺をやっていたけど締め付けで儲からなくなったからやめた、という連中が、一攫千金のチャンスだといって、かつての詐欺仲間からオファーを受けています。さらに言えば、今回の件で仕事が休みになったり、仕事からあぶれた連中が、新規に詐欺に手を染め始めている。休業補償などがなかなか決定されない中で、なんとか食いつなぐために、日銭のためにとやってくるんです」(K氏)