突然のリモートワーク推奨、同じ会社に勤めているのに働かなければならない人もいれば、働かせてもらえない人もいる。そこには、それぞれの不満と憂鬱が──。
都内の広告関連会社に勤めるAさん(40代)は、苛立っていた。新型コロナの感染防止対策で、納得がいかないことがあるという。
「うちの会社では半数が在宅勤務で、50代のベテラン社員ほど『基礎疾患があるから感染すると危ない』と早々にテレワークに入っています。
それは必要な対応だとは思うのですが、在宅社員が自宅から『会社のシステムに入れない』『Wi-Fiがうまくつながらない』と電話してきて、会社に出ている後輩社員の仕事の手を止めるんです。なのに仕事の電話中でも向こうからはテレビの楽しそうな音が聞こえてくる。
パソコン設定を説明するほうが面倒なので、『僕が代わりにやっておきます』と仕事を引き受けていると、結局、出社組の負担ばかりが増えるんです。飲食店の営業自粛でこっちはろくな昼食も食べられないのに“時間があったからスパイスカレーを作ってみた”なんて話をされた時にはこちらも帰ろうかと思いましたよ」
Aさんの会社では出社組と在宅勤務組で不公平感が生まれているようだ。多くの企業が政府の要請に従い、一部の社員をテレワークにするなどの対応をしている。だが、業種や部署によってはできないことがある。