国内

総額32万円だったはずの葬儀費用、なぜ200万円に膨らんだか

「家族葬」の費用はどのくらいかかる?

 作家・山口恵以子さんが最愛の母との最期の日々を綴って話題となっている『いつでも母と』にこんなシーンがある。母を自宅で看取り、悲しみのなか家族葬を執り行おうとしたところ--《母は「お葬式は家族だけで質素に」と言っていたのに》、家族葬の費用は予想を大きく上回る総額200万円弱に。

《「どうしてこんなに高いのよ! 金がなかったら死ねないじゃない!」》と山口さんは憤懣やるかたない気持ちを爆発させる--葬儀はたった一度、リハーサルもできないからこそ、事前に調べ、決めて、準備しておくべきなのだ。家族との時間が増えたいまのうちに、じっくり話し合ってみては?

◆総額32万円のはずが終われば200万円!?

 葬儀において忘れてはいけないのが、お金の問題だ。「家族葬」と言われれば安いのでは、と感じるが必ずしもそうとはいえない。そもそも家族葬の費用はどのくらいなのか。家族葬を専門に行う大阪セレモニーの山田泰平さんはこう言う。

「葬儀会社や地域、人数によって異なりますが、20~30人程度なら、生花祭壇や棺、遺体安置や通夜、告別式など一式セットで50万円ほどあれば行うことができるでしょう。別途、寺院へのお布施、火葬費用(地域により異なる)が必要になるし、祭壇や棺をグレードアップすれば追加料金がかかります」

 比較的低コストの家族葬だが、お金で失敗する人も多い。国民生活センターには葬儀社とのトラブル相談が年間約600件も寄せられている。

 例えば夫を亡くした70代女性の次のようなケース。

 女性は参列者も少ないので、葬儀社に「家族葬にしたい」と伝えていた。しかし、夫を亡くして精神的な余裕がない状況で祭壇などの高価なオプションをすすめられ、業者に言われるままに押し切られてしまう。さらに、狭い会場での葬儀を希望していたが、当日通されたのは広い会場。

 参列者が少ないので寂しいお葬式になってしまった。そればかりか約150万円を請求されて、支払いをしたくないと相談があったという。山口さんも、想像以上に費用がかかってしまったと後悔している。

「葬儀社と契約した際、いちばん安い祭壇を選んで、総額32万円のセット料金だと思っていました。すると棺・骨箱・遺影の額・告別式の会席膳などの費用が加算されて、最終的に200万円弱になってしまったんです。すべてが後の祭り。事前に調べるべきだったと、いまだに悔やまれます」(山口さん)

 こうした後悔をしないためには、どうすればいいのか。山田さんがアドバイスする。

関連キーワード

関連記事

トピックス

歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン