政府の緊急事態宣言を受けての商業施設への休業要請をめぐっては“朝令暮改”が繰り返された。
緊急事態宣言後、西村康稔・コロナ担当相は知事たちに「休業要請は2週間待て」と指示した。だが、小池百合子・東京都知事は「感染爆発の重大局面である東京は待てない」と“拒否”し、休業要請を発表した。するとその翌日、今度は安倍晋三・首相が全国の繁華街に休業要請を表明したのである。
「繁華街の接客を伴う飲食店等については、全国全ての道府県において、その出入りを控えていただく」
あの「2週間待て」の指示はどこに消えたのか。感染対策の最前線で市民の命を預かる首長たちにすれば、こんなに頼りにならない政府の言うことなど聞いてはいられない。
東京都が独自に「休業協力金」の支払いを決めると、国が反対する中、大阪、兵庫などが東京に追随して支給を決めた。
政府の緊急事態宣言“出し惜しみ”も混乱に拍車を掛けた。愛知、岐阜、京都の3知事は政府に緊急事態宣言の対象にするように申し入れたが、拒否されると、独自に緊急事態を宣言し、三重、宮城、福井、石川、香川、高知県宿毛市などがこれに続いて次々に緊急事態宣言を出した。いまや国の統制が全く利かなくなっている(4月16日にようやく全都道府県に緊急事態宣言が出された)。
医療の現場も同じだ。安倍首相は医療用の高機能マスク7万枚をすぐ支給すると表明したが、日本医師会は「マスクと防護服不足で医療崩壊の危機」を宣言し、厚労省は医療機関に使い捨ての医療用マスクを洗って再利用するように通達を出した。
それこそ非常事態であり、466億円もの金をかけて全世帯にアベノマスク2枚を配っている場合ではない。
政府の対応は後手後手どころかボロボロなのだ。気付けば、長く安倍首相を支えてきた菅義偉・官房長官の存在感が消えていた。