死に至る病である「肺炎」──新型コロナウイルスのリスクを抑えるために、自宅で今すぐできることがある。加齢とともに弱っていく肺を、自分で“鍛える”のだ。専門家が教えるトレーニングとは。
◆放置すると免疫力ダウン
人体にとって不可欠な「酸素」。取り込んだ食物をエネルギーに換え、細胞を働かせる役割を担う。その酸素を体内に取り込み、老廃物である二酸化炭素を排出する働きをするのが、「肺」である。
「肺は20歳から25歳頃まで成長し、能力のピークを迎えます。老化などによって肺が衰えると、酸素を十分に取り込んだり、二酸化炭素を排出したりすることができなくなる。そうすると、様々な細胞の働きが悪くなり、免疫力の低下にもつながります」(ナビタスクリニック川崎の谷本哲也医師)
その結果、肺炎を発症した時の重症化リスクも増す。日本では約9万人が肺炎で亡くなっているが、その95%超を65歳以上の人が占めている。
そこで重要になるのが「肺を100%使うこと」だと話すのは、文京学院大学教授で理学療法士の柿崎藤泰氏だ。
「肺自体は広がったり縮んだりできません。『呼吸筋』と呼ばれる肺周辺の筋肉が動くことで、肺は拡張と収縮を繰り返しています。
しかし、加齢とともにそれら肺周辺の筋肉が十分に動かせなくなり、『肺を100%使えていない浅い呼吸』の人が増えてきます。そうした状態になると、肺自体は健康でも、酸素と二酸化炭素の交換量が減ってしまうのです」