西浦教授はコロナ感染を「基本再生産数=2.5」と仮定して試算している。医療経済ジャーナリストの室井一辰氏が言う。
「昨年12月以降、世界中で新型コロナウイルスの基本再生産数を予測する論文が出されていますが、その多くで『2~3以内』と予測されているので妥当な数字だと言えるでしょう」
◆「早期収束」のため
接触制限で基本再生産数を1未満に下げ、収束を目指す。その際、「6割」「7割」「8割」で違いはどうなるのか。
「まず『6割減』だと、2.5×0.4=1となるが、これは1人から1人に感染し、流行が続いている状態です」(田中氏)
そのため6割を超える制限が必要だが、さらに「収束に要する日数」を考える必要が出てくる(折れ線グラフを参照)。
「基本再生産数が1未満となる場合、数値が小さくなるほど、早く収束に向かいます。試算すると、新規感染者数が100人を下回るまでに7割の接触制限の場合は60日程度を要するのに対し、8割の場合は感染収束まで30日程度で済むと予測できる。収束が1か月遅れると接触制限期間が延びて経済的な悪影響も考えられるため、『8割減』としたのでしょう」(田中氏)
あくまでも、これは最も単純化して試算した場合の説明だ。実際は「年齢」「性別」「住んでいる地域」「接触しやすさ(職業など)」などの複合的な要因も考慮している。