政府は企業に対して出勤者の「最低7割削減」を求め、リモートワークが推奨されている。しかし、同じ会社に勤めていても働かなければならない人もいれば、働かせてもらえない人もいる。
企業側が感染防止のための対応に励む一方、現場で働く社員たちとは、やや温度差がある。スーパーマーケットを中心に全国展開する大手小売の社員(40代)はこう話す。
「うちで一番大変なのは店舗のフロア長、チーフ、主任です。食品売り場の売れ行きが好調なため、シフト調整してフル稼働しなければならないが、パートさんには感染を心配する人もいれば、“稼げないと困る”とシフトに入りたがる人もいる。バランスを取りながら調整するのは大変です。
一方、別の専門店の担当は“開店休業”で、仕事に起伏ができている。給料は従来通りで変わらないからモヤモヤします」
人の命にかかわる緊急事態だからこそ大きな声で不満は言えないが、社員たちの不公平感は内に蓄積されているという。
化学メーカーに夫婦で勤める男性(30代)は、こう漏らす。
「はじめは楽だった在宅勤務も、2歳の子供の保育園が休園になってからは地獄です。在宅でも仕事の量は減らないので、妻も私も子供が寝てから朝まで仕事をしたり、休日も仕事をしたりしている。自宅の通信速度の問題で、会社ではすぐにできた処理にも時間がかかってイライラは増すばかり。家の中の空気が残業続きの会社みたいになってます。これなら会社にいたほうがよっぽどいい」
在宅勤務には在宅勤務の問題があり、不満を抱く人も多いのである。ある大手企業の労組関係者はこう明かす。