日産自動車元会長、カルロス・ゴーン氏の肉声を10時間以上にわたって保釈中に聞き出していたのが元東京地検特捜部検事の郷原信郎氏である。その記録が『「深層」カルロス・ゴーン氏との対話』(小学館刊)としてまとめられた。江上剛氏(作家)は2人の対話をどう読み取ったか。
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ゴーン氏には一度、テレビ番組でインタビューしたことがあります。ともかく頭の回転が速く、質問に対して機関銃のようにまくしたてる。通訳が間に合わないほどのスピードで、相当緊張した覚えがあります。
トヨタのハイブリッド車が普及し始めた当時、「これからの時代はハイブリッドではない。電気自動車の時代になる」と断言していたことが印象に残っています。
彼が日本に来たときは、日本人の中にある種の外国人信仰があり、マッカーサー的な存在として受け止められていたのではないでしょうか。日産も、ゴーン氏の指示に従うことを受け入れていた。
ゴーン氏は本書の中で、自らを追放した西川廣人・元日産社長をこう評しています。
〈西川は非常に忠誠心が高く、自分を律する人だった。日産社内でのニックネームは「ミスターアグリー」。ゴーンさんにアグリーしている(“I agree.”)という意味だと最近知った〉