誰もが夢見るものの、なかなか現実にならない夢の馬券生活。調教助手を主人公にした作品もある気鋭の作家、「JRA重賞年鑑」にも毎年執筆する須藤靖貴氏が、反省を次に生かせるかが馬券検討において重要であることについてお届けする。
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反省は繁栄の母。そんな箴言がありそうなものだが、競馬の場合は反省の暇はない。前を向き、次へ全神経を向けねばならぬ。そのへんの切り替えの早さは美点と思えるから、トラックマンの推奨馬が見せ場なく凡走しても、「チッ」と舌打ちをするくらいでいいのだった。
ところが、自らがちゃんと振り返っている。
金曜日のグリーンチャンネル、「トラックマンTV」である。番組の冒頭で先の土日の予想&結果をレビューする。予想を外したトラックマンの言い訳と素の表情が面白い。レースから数日経っているし、彼らの反省などどうでもいいとラクに見ているのだった。
もちろんサッと済ませて明日明後日のレース展望に移るわけだが、各トラックマンの成績表なども分かりやすく開示する。取り沙汰されたくない失敗を公にし、自らの予想に責任を取るスタンスだ。「4コーナー、大きく回らせられましたね」などと暗にジョッキーのせいにしたり、「すみません」と潔かったり。その人なりに気合いが乗ってしゃべりのデキはいいと思います。
的中レースのみを得意げに語る競馬ファン(私の友人だ!)も少なくないわけで、「あの馬場であの枠順であの鞍上なら、絶対逃げ切れると読んだ」なんて言う。「あのメンバーならあれしかない」とか。的中の理屈付けは後出しジャンケンの典型。なんとでも言える。そう考えると凡走にくっつく理屈はどこか微笑ましい。自分の馬券下手も顕わになってしまうわけで、その点でもトラックマンレビューは立派である。
「プロでもこんな調子か。ならばオレごときが当たるわけがない」なんて、妙な納得をしたりする。