中国の諜報機関である国家安全省は「国家安全記念日」にあたる4月15日、これまで検挙した海外勢力のために働く中国人スパイによる国家転覆の武装蜂起未遂事件や、軍の現役幹部による中国軍の最新兵器などの国家機密漏洩事件を初めて公表。そのうちの3件が、中国国営の中央テレビ局によって伝えられた。中国政府が国家安全保障上の機密を公表するのは極めて異例だ。
中国では2月からの国内での新型コロナウイルスの感染拡大で人心の動揺が著しかったことから、「外部からの敵」を明らかにすることで、習近平指導部が国内での求心力を強めるとの狙いがあるとみられる。
武装蜂起未遂事件があったのは2016年、中国南部の雲南省。中国人民解放軍の引退幹部だった男が「海外の敵対勢力メンバー」とともに、「決死隊」を組織、雲南省昆明市の警察署や軍の武器庫などを襲撃し、雲南省を勢力下に置くとの計画を立てた。
計画通りに成功すれば、インターネットを通じて「独立国」としての政治方針を発表。失敗すれば、海外に亡命することにしていた。
しかし、この計画は「決死隊」の配下のメンバーによって、警察に密告され、あえなく失敗。リーダーの男は逮捕され、昨年4月、成都の裁判所で国家転覆罪の有罪判決を受けたが、判決の量刑などについては明らかにされていない。