放送開始が延長された春ドラマが多いなか、スタートした作品で異彩を放っているのが『きょうの猫村さん』(テレビ東京系)だ。松重豊が猫の猫村さんを演じるこのゆる~いドラマの魅力についてコラムニストのペリー荻野さんが解説する。
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そんなわけで、世紀の出オチドラマになるのではと、みんながハラハラと見守った(と私は思っていた)テレビ東京の深夜ドラマ『きょうの猫村さん』。なにしろ、白猫の家政婦を松重豊が演じるのである。白いしっぽをプラプラさせて出てきただけで、「あーそうなのね」と視聴者に確認されて終了…と思いきや、これがとっても心地いい。どんどん続きが観たいドラマなのだった。
お話は、猫の猫村さんが、飼い主ぼっちゃん(濱田岳)との再会のため、お金をためようと村田家政婦紹介所に現れるところから始まった。家事の腕前は確かな猫村さん。まじめな顔で家事をこなす松重もいいが、気持ちを落ち着けるために段ボールを持ち出してツメをごりごりやったり、うれしいときは寝転がって背中をごろごろしたりする猫そのものの動きをする松重もまたよし。
妙に可愛い子ぶらず、淡々と猫になっているところがいい。最初の奉公先である犬神家で、美顔ローラーばっかりやってる奥様(小雪)や昔のスケバンみたいな娘たちと猫村さんがうまくやっていけるのか。これからの見どころだ。
このドラマの心地よさの秘密は、2分30秒のミニドラマというところ。ほわっとして本日は終了。そんな短い時間の中で、いつもピンとした猫村さんの耳が、奥様に厳しいことを言われると、しゅんと垂れるんだな~と芸の細かいところに気づく楽しみもあったりして。加えて作詞・ユザーン、作曲・坂本龍一、松重本人の歌唱による鼻歌のような主題歌。聴くだけで安眠できそうだ。
それにしても、長く「猫ブーム」と言われる日本では、この松重猫村さんはじめ、「猫とおじさん」がよく出てくる。