新型コロナウイルス感染拡大で、テレビや舞台を中心としたイベント系やエンタメ系、飲食系などの仕事が開店休業状態となっている。3月にも、舞台照明の仕事がなくなった50代の女が、Twitterで見つけた仕事に応募。90代の女性からキャッシュカード二枚を受け取る「受け子」をして逮捕された。仕事がなくなった人が、Twitterなどでの闇バイトや副業詐欺などに手を出したり、勧誘されたりする例が増えている。SNSにおける犯罪事情に詳しいITジャーナリストの高橋暁子さんが、Twitterではびこる副業詐欺や闇バイト募集の実態について解説する。
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◆仕事がなくなりTwitterにあふれる窮状
フリーアナウンサー、俳優や声優、パフォーマー、講演者、イベントスタッフ、飲食店経営者、飲食店スタッフ……。イベント系やエンタメ系、飲食系の仕事に就く多くの人が、仕事ができず、収入源を絶たれている。
イベント系の会社に勤める40代女性も、先日会社からクビを宣告されてしまったという。「長年勤めていたしこのままずっと勤めるつもりだったけれど、会社の窮状はわかる。しばらくは給料を保証してもらえたから、その間に再就職を頑張るつもり」。求人サイトで応募しているが、求人自体少なく、なかなか厳しい状態だそうだ。
仕事がなくなっただけでなくバイトの求人もほとんどなく、家賃や生活費に困っているという人は少なくない。Twitterで「仕事がない」と検索すると、「明日も仕事がないと思うとこんなに不安なのか」「仕事はないけど、むしろ仕事がないから心配で眠れない。疲れる」「仕事がない。コロナで死ぬか生活苦で死ぬか」などの経済的困窮を思わせる投稿が多数見つかる状態だ。
多くの人が経済的に不安を抱える中、TwitterなどのSNSには弱みに付け込んだ勧誘が増加中だ。
◆リツイートとフォローで10万円
Twitterは匿名で発信できることもあって、募集されている仕事には問題があるものが多く混じっている。普通の時であれば、ありえない、おかしなものとして気にも留めないでスルーするような内容でも、非常時となると、うまい話をそのまま信じてしまう人が少なくない。
たとえば「コロナで大変ですよね。リツイートとフォローした人全員に10万円あげます」という旨の投稿には、一日で1000件近くリツイートされている。収入があり、生活が安定していれば、そんなうまい話はないと考えられるのだが、追い詰められるとそういった判断力まで低下するようだ。実際、問題の投稿には「会社を強制解雇になって生活費に困ってます。少しでも借金の返済と生活費に当てたいです」などのリプライが複数寄せられており、多くのユーザーが本気で信じているようだ。しかしこのアカウントは他の投稿がひとつもなく、いったいどこの誰なのか投稿主の正体も不明、目的も明らかにしていない。