新型コロナウイルス感染拡大防止のため、テレビ番組の収録やお笑いライブの中止が相次ぐなか、芸人たちが活路を見出しているのがYouTubeだ。エンタメ事情に詳しいフリーライターの大塚ナギサ氏はこう説明する。
「以前から芸人のYouTube公式チャンネルは多数ありましたが、昨年末くらいから急増している印象です。特に今年1月の江頭2:50さんが公式チャンネルを開設したくらいから、芸人のYouTubeチャンネルへの注目度も高まっています」
そんななか、いま密かに人気を獲得しているのが、狩野英孝のYouTubeチャンネルだという。
昨年12月末に公式チャンネルを開設した狩野。様々な動画がアップされているが、特に人気なのがゲーム実況動画だ。
「チャンネル登録者数は約10万人と決して多いものではなく、再生回数が1万回に満たないものもあります。しかし、ゲーム実況動画についてはコンスタントに数十万回以上再生されている。もちろん有名YouTuberのゲーム実況動画には遠く及びませんが、急上昇ランキングのゲームカテゴリで1位を獲得するなど、かなり注目されています」(メディア関係者)
狩野のYouTubeで再生回数が多いのは、『デッドバイデイライト』というホラーゲームの実況だ。5人のプレイヤーが参加するオンラインゲームで、1人のプレイヤーが操作する「殺人鬼(キラー)」と、ほかの4人のプレイヤー操作する「生存者(サバイバー)」が対決するという内容。サバイバー4人全員を倒せばキラーの勝利、条件を満たしてキラーから逃げ切ればサバイバーの勝利となる。
「狩野さんはこの『デッドバイデイライト』をそれなりにやり込んでいますが、正直そこまで上手いわけではない。視聴者からすると少々イライラするようなプレイもあると思います。でも、なぜか嫌われることなく、多くの視聴者が楽しんでいるんです」(前出・メディア関係者)
では、どうして狩野のゲーム実況は支持されるのだろうか。大塚氏が分析する。
「プレイ中のリアクションがとにかく素直でおもしろい。些細な演出でも大声を出して驚くし、キラーに追いかけられたら、本当に焦ってしどろもどろになる。上手くいったときは素直に喜ぶし、仲間を助けたときは、恥ずかしがることなくカッコつけたことを言う。そういう無邪気な様子がシンプルにおもしろがられている。
言い換えるなら、バラエティー番組で見せる狩野さんのリアクションが、すべてゲーム実況に詰まっている、ということだと思います。ホラーゲームは、精神的に追い詰められた状況でプレイするので、冷静ではいられず、狩野さんの感情がそのままでてしまう。さらに恐怖だけでなく、爽快感や達成感もあるので、リアクションのパターンがとても多い。計算では出せない狩野さんの魅力をより深く引き出していると言えます」