コロナ感染拡大に収束が見えないままゴールデンウィークに突入した。「STAY HOME」はやむを得ないが、GW中の巣ごもり生活は“ポストコロナ時代”の働き方を考えるうえでも貴重な時間。いつか来る収束後の社会はどう変わるのだろうか──。ジャーナリストの山田稔氏がレポートする。
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コロナ感染拡大状況下でビジネスマンの仕事環境が様変わりしている。在宅勤務(テレワーク)が一気に普及し、打ち合わせや会議もズームなどのアプリを使ったリモートスタイルが日常化しつつある。メディアの現場も一緒で、記者会見もズームなどで行っている。
その結果、混雑率が180%を超えていた都内の通勤電車は信じられないほど人が減り、回数が減った通勤も座ることが可能になったという声も聞く。「ポストコロナ時代」に向けた変化の予兆が随所に出始めているのだ。
今回のコロナ禍で改めてクローズアップされたのが東京一極集中リスクの怖さだ。全国の感染者数をみても東京が圧倒的に多い。当然だろう。人口1395万人(昼間人口は1592万人)という世界有数の超過密都市・東京は、あまりある魅力を備える一方で、過密さゆえのリスクは他の都市とは比べ物にならないほど大きい。
しかもリスクは感染症被害だけではない。首都直下地震、富士山大噴火、大型台風、ゲリラ豪雨などいつ見舞われるかしれない自然災害による被害も計り知れない。そんなリスクの巣窟に政治・経済の中枢機能が一極集中している現状に危機感は高まる一方だ。
東京を拠点に事業を継続すること、東京に暮らすことにどれだけの価値があるのか。多大なリスクを上回る魅力とメリットがまだあるのだろうか。ポストコロナ時代に起こり得る現象の一つは「脱・東京」の動きである。まずは、企業の本社移転が進むのかどうかを検証してみよう。
企業の本社移転に関しては、参考になる調査結果がある。帝国データバンクの「1都3県・本社移転企業調査」(2018年)だ。1都3県は東京都、埼玉県、神奈川県、千葉県のいわゆる「東京圏」である。
2018年に本社が1都3県から転出した企業は285社で、2年連続で前年を上回った。一方、1都3県への転入は308社で、8年連続の転入超過となった。転出先の上位は(1)茨城県/39社(2)大阪府/38社(3)愛知県/22社(4)静岡県/18社(5)栃木県/16社の順。
「新幹線や高速道路など交通の便が良く、大都市や首都圏とのアクセスが良好な府県への移転が多数を占めました。あとは福岡県(2018年は10位、2017年は4位)のように、企業誘致に向けた自治体の取り組みが積極的な地域への移転もここ数年多く見られます」(帝国データバンク東京支社情報部の瓦田真人氏)
東京圏への転入が多い状況は変わっていないが、政府の「地方拠点強化税制」を軸とした移転支援政策もあり、地方への移転の動きもそれなりに増えてきている。2017年は279社で前年比28.6%増、2018年は285社で同2.2%増。これが最近までの状況だ。