春の天皇賞はGI最長距離となる3200m。データと血統をどう読むかが鍵となる。競馬ライターの東田和美氏が分析した。
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平成以降、勝率、連対率、3着内率全てにおいて1番人気馬より2番人気馬が上回っている。とくにここ10年で言えば1番人気馬は単勝1倍台の3頭がすべて馬券圏内から外れており、わずか2勝で2着も1回だけ。一方の2番人気馬は5勝もあげている。ただし昨年は前年の菊花賞馬が1番人気に応えるという、古き良き時代の天皇賞(春)のような結果だった。
世の中「ステイホーム」だからステイゴールドだろうといった“サイン馬券”が競馬ファンの間でささやかれている。直子が2頭、加えて同枠にドリームジャーニー産駒とオルフェーヴル産駒だからまんざらでもない。
ステイゴールドは、このレースに3回出走、1998年に10番人気で2着、1999年6番人気で5着、2000年4番人気4着と脇役的存在。しかし種牡馬としては父サンデーサイレンスと同じ4勝。2着はないが3着が2回。オルフェーヴルとゴールドシップがともに単勝1.3倍の1番人気で敗れているが、逆に勝った時は2番人気3回に4番人気と、1、2番人気馬の逆転現象を演出している。3着だった2頭も5番人気と8番人気だ。
一方2006年にこのレースを勝っているディープインパクト産駒は、昨年のフィエールマンが初勝利。これまではキズナが1番人気で2度馬券圏外に敗れるなど、これもある意味逆転現象の一因だった。しかし昨年は勝ち馬だけでなく、6番人気のグローリーヴェイズも2着と相変わらずの底力を見せている。今年は4頭の直子が出走するほか、ディープブリランテ産駒とトーセンホマレボシ産駒も出走。キセキの母父もディープで、まさにステイゴールド系vs「ディープインパクト一族」だ。
ちなみにハーツクライは2005年、スズカマンボが勝った馬連8万円、3連単190万円という天皇賞(春)史上最高配当のレースに出走していて8番人気5着。産駒は勝ち馬こそないが、のべ23頭出走していて2着5回3着3回と、結果的に連対率も3着内率もステイゴールドやディープインパクトを上回っている。しかし、今年はタイセイトレイルが回避したので出走馬はゼロ。やや残念。
つまりこのレースもサンデーサイレンス産駒種牡馬の牙城で1着馬は2011年から、2着馬は2013年から、3着馬は外国調教馬レッドカドーが3着に入った2013年を除けば、2009年からという独占状態(2018年ディープスカイは孫)。上記「御三家」だけでなく、ブラックタイドやマンハッタンカフェ、ミスキャストやヤマニンセラフィムの産駒も結果を残している。
となれば、問題はキングカメハメハ産駒。3歳で引退しているから淀の3200m経験はないが、ダービー馬を送り出しているダービー馬。これまでの種牡馬実績から、距離に限界があるとは思えない。しかし過去14頭が出走しているが、3着以内に入ったことがないのだ。上位人気に推されるような馬の出走が少ないのは確かだが、それにしても二桁着順が10回というのはかなり極端な不振。
しかし・・・・! 皐月賞でも過去〈0 0 0 10〉のハーツクライ産駒サリオスが2着に来た。キンカメ産駒、今年は阪神大賞典だけでなく、京都3000m万葉Sでも1着馬の母の父、2着馬の父の父。「揺り戻し」があるのではないか。