ビジネス

春商戦壊滅のアパレル業界 残るブランド、消えるブランド

百貨店などのコロナ休業で売り上げ大幅減のアパレル業界(EPA=時事通信フォト)

百貨店などのコロナ休業で売り上げ大幅減のアパレル業界(EPA=時事通信フォト)

 飲食店をはじめ、コロナ自粛による店舗休業の長期化で壊滅的な被害を受けている業種は多いが、アパレル業界もその代表だろう。ゴールデンウイークにピークを迎える春物商戦も期待できない中、今後どうなってしまうのか。ファッションジャーナリストの南充浩氏がレポートする。

 * * *
 新型コロナウィルス感染の深刻化によって、アパレル各社の今春商戦はほとんど吹き飛んだといえます。

 基本的に年明けからのアパレル業界の売れ行きというは、1月は正月と冬バーゲンで好調、2月はその反動で売れず、3月と4月は春物が非常に良く動き、5月はゴールデンウイークを境に動きが止まります。

 そのため、3月からの商業施設の時短営業、4月の非常事態宣言によるゴールデンウイーク明けまでの商業施設の休業は、ちょうどかき入れ時の3月と4月の実績が大きく落ち込むことになります。5月のゴールデンウイーク明けからは反動で洋服の動きが鈍るのと、売り場のメイン商材は夏物に切り替わるため、春物の洋服はほとんど不良在庫になってしまったといえます。

 メンズの場合、秋にもう一度売ることもできますが、トレンドや雰囲気に敏感なレディースの場合は、よほどの定番品以外は秋にもう一度定価で売ることは難しく、業界はこぞって今春物をどのように処分するかが緊急の課題となってしまいました。

 3月に発表された各社の業績はどこも非常に悪く、営業時短の影響と消費者の外出自粛の影響をモロに受けたといえますが、本当に恐ろしいのは非常事態宣言以降、ほとんどの主要商業施設が休業となった4月度の業績です。どれほどの落ち込みになるかは現時点では想像できません。

 営業時短が開始された3月度の主要な百貨店各社の実績は、三越伊勢丹が39.8%減、J.フロントリテイリング(大丸松坂屋百貨店)が43.0%減、エイチ・ツー・オー(阪急阪神百貨店)が28.1%減、高島屋36.2%減、そごう・西武が31.9%減となっています。営業時間の短縮に加えて土日の休業が原因といえます。東京、大阪、兵庫の百貨店は4月7日の非常事態宣言の翌日から休業しているので、4月の売上高はほとんどなくなることになります。

関連キーワード

関連記事

トピックス

運転席に座る広末涼子容疑者(2023年12月撮影)
【広末涼子容疑者が追突事故】「フワーッと交差点に入る」関係者が語った“危なっかしい運転”《15年前にも「追突」の事故歴》
NEWSポストセブン
広末涼子容疑者(時事通信フォト)と事故現場
「全車線に破片が…」広末涼子逮捕の裏で起きていた新東名の異様な光景「3kmが40分の大渋滞」【パニック状態で傷害の現行犯】
NEWSポストセブン
北極域研究船の命名・進水式に出席した愛子さま(時事通信フォト)
「本番前のリハーサルで斧を手にして“重いですね”」愛子さまご公務の入念な下準備と器用な手さばき
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《中山美穂さん死後4カ月》辻仁成が元妻の誕生日に投稿していた「38文字」の想い…最後の“ワイルド恋人”が今も背負う「彼女の名前」
NEWSポストセブン
広末涼子(時事通信フォト)
【広末涼子容疑者が逮捕、活動自粛発表】「とってもとっても大スキよ…」台湾フェスで歌声披露して喝采浴びたばかりなのに… 看護師女性に蹴り、傷害容疑
NEWSポストセブン
麻布台ヒルズの個展には大勢の人が詰めかけている
世界的現代美術家・松山智一氏が問いかける“社会通念上の価値の正体” 『うまい棒 げんだいびじゅつ味』で表現したかったこと
週刊ポスト
山口組分裂抗争が終結に向けて大きく動いた。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
「うっすら笑みを浮かべる司忍組長」山口組分裂抗争“終結宣言”の前に…六代目山口組が機関紙「創立110周年」をお祝いで大幅リニューアル「歴代組長をカラー写真に」「金ピカ装丁」の“狙い”
NEWSポストセブン
中居正広氏と報告書に記載のあったホテルの「間取り」
中居正広氏と「タレントU」が女性アナらと4人で過ごした“38万円スイートルーム”は「男女2人きりになりやすいチョイス」
NEWSポストセブン
Tarou「中学校行かない宣言」に関する親の思いとは(本人Xより)
《小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」》両親が明かす“子育ての方針”「配信やゲームで得られる失敗経験が重要」稼いだお金は「個人会社で運営」
NEWSポストセブン
約6年ぶりに開催された宮中晩餐会に参加された愛子さま(時事通信)
《ティアラ着用せず》愛子さま、初めての宮中晩餐会を海外一部メディアが「物足りない初舞台」と指摘した理由
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン
沖縄・旭琉會の挨拶を受けた司忍組長
《雨に濡れた司忍組長》極秘外交に臨む六代目山口組 沖縄・旭琉會との会談で見せていた笑顔 分裂抗争は“風雲急を告げる”事態に
NEWSポストセブン