5月末までの「緊急事態宣言」延長が決まり、外食産業が悲鳴を上げている。日本の国民食とまで言われるラーメン業界は業績が落ち込み、長い行列が当たり前だった人気店でも売り上げが7〜8割も減ったとささやかれる。そんな苦境のなかでラーメン業界を少しでも応援しようと立ち上がったのが、年間600杯を食する「ラーメン女子」の森本聡子さんだ。女性がひとりでもラーメンを食べられるカルチャーを広げるため、ラーメン女子博など数々のイベントを主催してきた彼女のラーメンライフは新型コロナの発生で一変した。
「それまでは日本全国で行きたいラーメン屋さんを見つけてはそこを訪れて食べまくる生活をしていましたが、コロナが広がってからは不要不急の外出ができなくなりました。苦境に陥ったラーメン屋さんを応援したくても、外出自粛要請が出ているなかで『お店に行って食べよう』とはなかなか言いづらい。まったく違う世の中になったと実感しました」(森本さん、以下同)
愛するラーメンのため何か自分にできることはないか──思い悩んだ彼女がたどり着いた答えが、ラーメン店のテイクアウト情報やお取り寄せ情報を全国に拡散することだった。少しでもお店の売り上げに貢献したいとの一心で森本さんは、志を同じくする大先輩のTRYラーメン大賞審査員・しらす/斉藤光輝さんとともにラーメン店の持ち帰りや通販情報を集めて共有し、お互いのツイッターアカウントで発信することにした。
「『#おうち時間ラーメン』のハッシュタグがついたツイッター情報のほか、インスタグラムやハッシュタグのついていないつぶやきなども時間を見つけてはこまめにチェックして情報を集め、感想やアピールポイントなどを添えてツイッターで紹介しました。各店の情報を一気につぶやくとその他大勢のツイートに埋もれてしまうので、発信する時間帯をひとつひとつ変え、読まれやすいタイミングでつぶやくなどの工夫をしています」
森本さんらの試みに、「自称日本一ラーメンを食べた男」の大崎裕史さんや有名ブロガーのいけ麺さんなどが次々と賛同し、ラーメン業界とラーメンファンが一体となって、「おうち時間ラーメン」を推奨する流れができた。
「ラーメン屋さんから『森本さんのツイートをきっかけに購入されたお客さんがいました』との報告があったり、面識のないラーメン屋さんからも問い合わせが来るようになりました。私はラーメン業界のプレス(広報)になることが夢なので、全国の店主さんたちのお役に立てるのは本当にうれしいですね」
現在、多くの飲食店がテイクアウトに活路を見出そうとしている。ラーメンはできたてを食べることが基本だが、お持ち帰りもなかなかの逸品らしい。
「麺が伸びたりスープが冷めたりするのを避けるために麺とスープを別々にするなど、各店がおいしくいただける工夫を凝らしています。自宅から鍋を持ってきた人にラーメンを提供するエコなお店もありますよ。汁なしラーメンやまぜそばは麺が伸びにくいので、これまであまり食べてこなかった人にもチャレンジしてみてほしいですね」