世界に知られた日本語といえば「SUSHI」「KARAOKE」だが、勝るとも劣らない知名度を誇るのが、世界100か国以上、2億人が熱中するパズル「SUDOKU」(数独)だ。名付け親は、社員わずか20数人というパズル専門の出版社「ニコリ」社長・鍜治真起氏(68)。2006年の『ニューズウィーク日本版』で「世界が尊敬する日本人100人」に選ばれたこともあるというが、ご本人はいたって気さくで、失礼ながら世界的な人物には見えない。鍛冶氏はこう語る。
「『数独』は、1980年に日本初のパズル専門誌『パズル通信ニコリ』を創刊した4年後に、アメリカのナンバープレイスというパズルをヒントにしました。でも、最初は『数独』じゃなかったんです。1から9までの数字を使うから英語なら『シングル』か……日本語訳すれば『独身』だな……なんてつらつら考えていたら思いついた名前が『数字は独身に限る』。変な名前でしょ(笑い)。それがいつの間にか短くなって『数独』になったというわけです」
「数独」が世界的に知られるようになったのは2004年。イギリスを代表する新聞『タイムズ』紙が大々的に取り上げたのをきっかけに、爆発的な大ヒットとなった。折しも日本は「脳トレ」ブームの真最中。逆輸入という形で瞬く間に日本人を虜にした。2006年にはスペインで第1回SUDOKUU選手権が開催され、鍜治氏は“数独の父”として招待された。
「空港に着いたら、自分でも驚くほどの有名人でした(笑い)。新聞、テレビに呼ばれて、スター気分でした」
今年で創刊40年、数独以外にも数々のオリジナルパズルを生み出してきた。
「雑誌に載せる問題の7~8割は読者投稿です。毎回1000通超の応募がありますが、編集部で検討して掲載されるのはわずかです」