初夏の陽気に新緑が萌え、大型連休は各地の観光地でこれ以上ない行楽日和だったが、どこも閑古鳥が鳴いた。新型コロナウイルス発生の真冬から春を経て初夏にさしかかっても、自宅の窓から季節の移ろいを眺めるだけの日々が、いまだ続く。ただ、そんなストレスフルな生活にも、ようやく光明が見え始めた。
新型コロナの新規感染者数は、全国的に明らかに減少傾向に入った。たしかに逼迫した医療現場を立て直すために政府は緊急事態宣言を5月末まで延長。しかし、さらなる感染者減が確認できるなどすれば、期間内でも宣言を解除する方針だ。
「感染拡大がみられない地域では『3密』以外の外出を容認し、施設なども再開する方針です。東京や大阪でも、知事を先頭に独自の出口戦略を打ち出している」(全国紙社会部記者)
今後は感染の拡大と縮小を注視しながら、外出規制と解除を繰り返す生活になる。感染の流行を収束させる条件となるのが、ウイルスの抗体を持つ人が増える「集団免疫」である。米カリフォルニア大学アーバイン校准教授で公衆衛生学を専門とするアンドリュー・ノイマーさんが言う。
「集団免疫率でいうと、人口の50~70%が免疫を獲得すれば感染拡大を食い止めることができます。それには1~3年かかるでしょう。たとえ、一時的に感染者が減ったとしても集団免疫を獲得するまで流行は何回もぶり返すと考えられるので、予断を許さない状況が続きます」
免疫はワクチン接種でも獲得できるが、ワクチンが開発されても世界中の人に供給されるのは3年以上かかるとされている。
そこで政府専門家会議が感染拡大防止のために提唱したのが「新しい生活様式」だ。「遊びに行くなら屋内より屋外」「買い物は通販も利用」「ジョギングは少人数」といった項目が並ぶ。その多くは「買い物」「娯楽、スポーツ」「公共交通機関の利用」「働き方」などの外出先での生活場面を想定した項目だ。もちろん「人との接触を減らすこと」が大前提の感染症対策にあって、屋外での行動の制約は必要不可欠。しかし、そこには大きな落とし穴がある。
これまでクラスター(感染集団)の発生は「夜の街」やカラオケ、スポーツジムなど「3密」の場とされてきた。しかし、現在進行形でクラスターが発生しているのは、実は「家庭内感染」なのだ。