3歳馬によるマイル王決定戦はヒモ荒れ傾向の強いレースである。競馬ライターの東田和美氏が狙い目を考察した。
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これまでの24回で1番人気馬が10勝、単勝の払戻金が500円以下だったのが13回と聞けば堅そうなイメージだが、10番人気以下が16頭も馬券圏内に入っており、馬連が1000円以下だったのは2回しかない。3連単が発売されてから15回だが、10万円以上が10回でうち3回が100万馬券。
今年は桜花賞で1番人気に支持されて2着だったレシステンシアと、クラシックには目もくれず、このレースを目標にしてきた馬たちとの闘いとみられている。
芝の中長距離なら、ディープインパクトにハーツクライ、ステイゴールドのSS御三家にキングカメハメハ産駒の争いになることが多いが、若駒のマイル戦に強いのがダイワメジャー産駒。3歳春までのマイルGⅠで7勝、うちNHKマイルカップでも3勝と、上記ビッグ4を上回っている。もちろんレシステンシアには心強いデータだし、ハーモニーマゼランも無視できない。
だがこのレースの種牡馬と言えば、フレンチデピュティとクロフネの親子。
2001年にはクロフネが圧倒的人気に応えて勝ったが、この時の2着馬グラスエイコウオーもフレンチデピュティ産駒の外国産馬。その後フレンチデピュティは輸入され、2007年にはピンクカメオが17番人気で激走。このレースへの出走は7頭で2勝2着1回。母の父としても2013年の覇者マイネルホウオウがいるなど縁が深い。
フレンチデピュティ産駒はアイビスSDを勝ったサンアディユから天皇賞(春)のアドマイヤジュピタまでいて、まさに距離不問。クロフネはマイルの芝・ダートGIとも1分33秒台で勝っているし、サウンドトゥルーなどのダート巧者を送り出していながら、芝マイルでも桜花賞馬レジネッタがいる。
クロフネ産駒も毎年クラシック候補を送り出すような派手さはないものの、このレースでは2015年クラリティスカイ、2017年のアエロリットと2勝。2008年にブラックシェル、2013年にインパルスヒーローが2着になっている。
「ダート最強馬」と言われているクロフネだが、産駒はヴィクトリアマイル勝ちホエールキャプチャや、スリープレスナイト、カレンチャンなど芝での活躍馬も多い。父同様アイビスSDのセイコーライコウがいるかと思えば、3200mどころか4250mの中山グランドジャンプを勝ったアップトゥデイトもいるなど、スピードとスタミナを兼ね備えた万能種牡馬だ。初年度産駒のフサイチリシャールが1番人気に支持されるなど、NHKマイルカップにはコンスタントに出走馬を送り出している。