「新型コロナの発生源が武漢ウイルス研究所であるという決定的証拠を公表する!」
米トランプ大統領の発言が物議を呼んでいる。新型コロナが中国・武漢にあるウイルス研究所から流出した疑惑については、かねて取り沙汰されてきたが、WHO(世界保健機関)が否定したこともあり、真偽は不明だった。
果たして証拠とはどんな内容なのか。国際ジャーナリストの山田敏弘氏が解説する。
「参考になるのが、オーストラリアのサタデー・テレグラフ紙が5月2日にスッパ抜いた、米、英、豪など5か国の諜報機関が機密情報を共有する『ファイブ・アイズ』の文書です。同紙が入手した文書には、武漢ウイルス研究所での『第1号感染者』と噂された研究者が行方不明になっている、中国の国家衛生健康委員会(NHC)から関連の研究所にウイルスのサンプルなどを廃棄するよう指示が出された、など中国による数々の隠蔽工作が書かれています。しかし、すべて状況証拠でしかなく、これを見る限り米国が現時点で決定的な証拠を出すのは難しいのではないか。
欧米の諜報機関の関係者に聞くと、『中国はかなり早い段階から隠蔽工作を行なっており、現場はかなり苦戦している』と言っていました。現在は関係者の買収や亡命の働きかけなどを必死に行なっているそうです」
対する中国はどう応戦するのか。中国を取材し続ける経済ジャーナリストの浦上早苗氏は言う。
「WHO以外にも数々の専門家が否定していますし、中国人に言わせると、『証拠を出せるものなら出してみろ』ということでしょう。中国では、感染の発生当初はみな申し訳なさそうにしていましたが、世界各地に広がった今、『米国などの対策が甘かったのを棚に上げ、なぜ中国だけが悪者にされるんだ』という不満がたまっています。自分たちは徹底した封じ込めに成功した、という自負もあるのでしょう」