働き方改革の一環で、副業を認める流れが少しずつできつつあるが、副業先で事故が起きた場合、社員の損害をその副業先に補償してもらえるのか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。
【相談】
管理職です。我が社も社員の副業を認める方向で動いています。もちろん会社の業務に支障がない副業が前提になります。懸念されるのは仕事の内容。例えば、食事の宅配サービス中に交通事故が起きたら、社員が働けなくなる分、社にも損害が生じます。その際、こちらの損害を副業先に請求できますか。
【回答】
勤務時間以外は自由時間です。スポーツをしてもパチンコで遊んでも、何をしてもよいはずで、アルバイトをして文句をいわれる筋合いはありません。しかし、副業に精を出して本業が疎かになっては困るし、同業や取引先でアルバイトをされたら、企業秘密が漏れたり、利益相反行為をされることも心配です。そこで多くの会社では、就業規則で副業を禁じています。
一方、厚労省は「働き方改革」の一環として、会社の従業員の副業や兼業の普及を促進しています。もっとも謳い文句の陰には、本業の賃金を抑える狙いが見え隠れしています。
会社が副業を認める場合、前述のような懸念に対処すべく就業規則の変更など制度を整え、労働時間の管理、健康管理や安全管理などが必要になってきます。