長らく「コロナ休校」が続き、教育崩壊が叫ばれている全国の公立学校。特定警戒に指定されていない都道府県の小学校などでは、徐々に分散登校も始まっているが、失われた授業時間を取り戻すのは容易なことではない。「9月入学議論」も沸き起こる中、教育評論家の石川幸夫氏が、様々な“穴埋め案”の問題点を指摘する。
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新型コロナウイルス問題による一斉休校は、首都圏で今まで例のない3か月間に及ぶ長期となっています。
学校教育はすべてが滞り、前学年の1か月間、新学年2か月間にわたり授業がまったく行われていない状況で、このままでは定められている年間数をこなすことが不可能な状態にまで追い込まれています。これは、卒業や進学の対象学年ではとても深刻な問題です。まさに経済同様、教育の崩壊が始まりつつあるのです。
あまり語られていませんが、今年は新指導要領の実施年度で、小学生では3、4年生が外国語活動として35時間増、5、6年生が新たに外国語科となり、それまでの35時間に対し、倍の70時間になりました、それまでより、それぞれ35時間も授業時間が増えています。
これまで授業は、週平均24時間から29時間(小学1年生から中学3年生まで)行われていたので、コロナ休校で失われている授業時数は、およそ8週間と考えて192時間(22.5%)~232時間(22.8%)にもなります。
そんな失われた授業時間を穴埋めする策として、どんな具体的かつ現実的な案があるでしょうか。
例えば1日の授業単位数を最大7~8時間と増やす、朝の学活の時間を利用する、隙間時間を利用して15分単位の授業を1コマ分まで積み重ねていく、運動会・社会見学・文化祭・音楽鑑賞会・修学旅行などの行事などを行わず授業に充てる──等の案が出されています。
学校の授業時数は、各学校単位で定められた授業時数より多めに確保している所が全国で56.8%(ベネッセ総合教育研究所調査より)あります。また、1日の授業予定以外に、隙間の時間帯があります。各教科の授業については,15分程度の短い時間を活用して学習活動を行うことも可能かと思います。これには、総授業時間数や学習活動の特質に照らし、妥当かどうかの教育的配慮に基づいた判断が必要になるでしょう。
すでに朝時間の活用や今年予定されていた学校行事の延期・中止を決めている学校もありますが、現実的には休校解除の見通しが立たず、せっかく立てた計画も度重なる休校延長で、これまで2回ほど水泡に帰しています。
そこで考え出されているのが夏休みの利用です。これならば、多くの授業時数を獲得できると考えられているからです。