誰もが夢見るものの、なかなか現実にならない夢の馬券生活。調教助手を主人公にした作品もある気鋭の作家、「JRA重賞年鑑」にも毎年執筆する須藤靖貴氏が、無観客競馬で場外馬券場の閉鎖が続くため、ネット投票に挑戦して馬券を次々と購入した体験についてお届けする。
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かの哲学者・ニーチェは言う。「重要なのは自分で決めて実行すること」。ある土日は外出しないと決めてそうする。私は「今日はスクワット50回」。それをやるだけで気持ちに筋が通るのだった。
競馬こそニーチェ流で行こう! 予想印や識者の声などではなく、すべてを自分で決める醍醐味。気の滅入りがちな今こそ、全身全霊で競馬を楽しもうではないか!
即パットに加入して迎えた最初の土曜日の1R前。4番の単勝に1000円と決めた。
投票にはいくつも段階がある。買い目を「セット」し、金額を入れる。あらかじめ「00円」と設定されていて「10」を入力。うっかり「1000」と入れると10万円になってしまう。しかしミスはどこかで気づく。
次に合計金額を入力。「購入する」をクリックし、「投票内容と金額を送信してもよろしいですか?」をOKすれば完了。
しかし完了しない。「合計金額の入力に誤りがあります」とストップがかかる。先の「00円」の辺りが怪しいのではとやり直しても、頑として注意マーク。他馬の複勝を500円追加して計1500円で再トライしたけどダメ。次に単勝を500円ずつ分けてみたけど買えない。合計金額も「1000円」と入力できているのに。