新型コロナウイルス感染防止のための外出自粛が求められるなか、家庭内暴力の危険度が高まっている。
子供の前で親が配偶者に暴力を振るう「面前DV」の経験者で映像作家の西坂來人さんは「長期にわたる休校は考えただけでゾッとする」と語り、YouTubeに『外出自粛で高まる家庭内の虐待リスク』という動画を掲載して注意喚起をしている。
「虐待がはらむ大きな問題は当事者にはそれが異常な状況だと理解できず、学校の先生など周囲の大人に指摘されるまで気づかないことです。子供はしつけの延長で叩かれることが多く、自分が悪いと思ってしまう。特に小学生以下の小さな子供は“虐待されても親のことは好き”というアンビバレントな感情を抱いていることも多く、自ら発信することが非常に難しいといえます」(西坂さん)
恐怖心からSOSを出せないケースも目立つ。
「ぼくの場合、父が酒を飲むと母に暴力を振るっていましたが、誰かに相談してそれを父が知ればもっと怖くなると思い、がまんするしかありませんでした。だからこそ虐待には第三者の気づきが大切です。いまは休園休校や外出自粛で子供とかかわる大人が少なく、多くの虐待が発見されにくい状況になっています」(西坂さん)
実際、東京都児童相談センターに問い合わせたところ、「休校によるきょうだいげんかが増えたなどコロナに関する相談内容もあるが、件数が増えているという実感はない」という回答だった。しかし地域によっては相談件数が増えているところもあり、予断を許さないことは間違いない。加えて、この特殊な状況だからこそ起こり得るケースもある。
「親が小さな子供を置いて外出することが心配です」
そう指摘するのは認定NPO「児童虐待防止全国ネットワーク」理事の高祖常子(こうそ・ときこ)さんだ。