放送作家、タレント、演芸評論家で立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、野球の無い毎日のウサ晴らしができる書籍を紹介する。
* * *
自粛生活。何かが足りないと思ったら野球の無い日常なのだ。野球をやっていない毎日なんてクリープを入れないコーヒーのようだし、自転車のないウーバーイーツのようなものだ。そんな事を嘆く貴方に嬉しいウサ晴らしの一冊。
ひたすら野球がらみの本を書きまくる長谷川晶一が、名バッテリーを組むイラストの佐野文二郎とまた『プロ野球語辞典』(誠文堂新光社)を出したのだ。「また」と言うことは2冊目ということ。この連載のイラストも佐野クン。第2弾にはサブタイトルも生意気に付いていて「令和の怪物現る!編」だとさ。2冊目が出たという事は1冊目もそこそこ売れたのだろう。出版不況、風俗不況の昨日今日、嬉しい話である。
「あつお(熱男)」、「稲葉ジャパン」など言葉の説明は勿論のこと、佐野クンの渾身でもない力のぬけたクスクスッという絵も傑作。選手の顔が似ているだけでなく、打つ・投げるなどの身体の動きがなめらかで、その動作までが似ているのだ。ものまねの名人と同じ筋肉を使うのだろう。プロ野球ファンには、たまらない仕上がりになっている。
そう言えば1か月位前、泣きそうな声で「2日で300点イラスト仕上げるンすよ。もう死にます。コロナで生き残ってイラストで終わるってのも情けないですかネ」と言ってたっけ。