新型コロナウイルス感染防止のための外出自粛も徐々に解除され、学校再開の動きも出始めてきた。しかし、予断を許さない状況に変わりはなく、都市部では休校が続いている。一方、おうち時間を利用して、読書を重ねれば、あらたな学びを得ることもできるだろう。そこで、辞書編集者の神永曉さんに、子供たちが読むべき本を紹介してもらった。
【プロフィール】
◆辞書編集者 神永曉さん/辞書一筋37年の伝説の辞書編集者。著書に『悩ましい国語辞典』など多数。
辞書編纂一筋の神永さんは、「気に入った部類の本は、徹底して読むべし」と言う。
「読書は堅苦しく考える必要はありません。漫画や図鑑、辞書でもいい。もしできれば、好きな作家、ジャンル、シリーズを“芋づる式”に読むのがおすすめ。続けて読むからこそ、思わぬ発見があるはずです」(神永さん・以下同)
そして読んでいるうちに、知らない言葉や疑問に思うことがあったら、人に頼らず、辞書を引いて調べてほしいとも。
「そうすることで知識が身につきやすく、より理解が深まります」
子供の頃、読書で知らない言葉に出合うと、片っ端から使ってみるのが好きだったという神永さん。それが高じて、辞書編集者に。正統派の辞書だけでなく、個性あふれる革新的な辞書も多数手がける。日本人の繊細な感性を反映した言葉を集めた『美しい日本語の辞典』は、小学6年生が読書感想文コンクールの題材に選び、入賞して話題になったこともある。子供時代の読書は、天職につながった。
【神永曉さんがおすすめする3冊】
『モンテ・クリスト伯』
岩波文庫/アレクサンドル・デュマ(著)
「身に覚えのない罪で孤島の監獄に投獄された若い青年の復讐劇。どんなに困難な状況にあっても、決してへこたれない主人公の姿は感動的です」
『「赤毛のアン」シリーズ』
L.M.モンゴメリ(著)
「カナダのプリンス・エドワード島を舞台に、孤児院から間違ってやってきた少女アンが、失敗を重ねながら、持ち前の明るさと前向きな姿勢で、新しい家族やまわりの人々の愛を獲得して成長していく。ひたむきに生きるアンは、誰しもが大好きになるだろうと思います」