4月下旬、六代目山口組が全国の直参組織に大量のマスクを送った。司忍組長名義のプレゼントで、“トラック一杯”に詰め込まれていたという。アベノマスクならぬ「ツカサノマスク」だが、当事者たちは具体的な量やマスクの詳細については口をつぐむ。
「高山清司若頭が出所してから、六代目は情報の漏洩を警戒している。細かいことを書かれるのは困る」(六代目山口組関係者)
「トラック一杯」という形容は、ヤクザの常套句である。単価の安い商品であっても、トラック一杯分という圧倒的な数量を送れば相手は気圧されるため、彼らは頻繁に度を超した量の贈り物をする。あなたを大事に思っていますと見せかけ、実のところ、自らの力を誇示しているのだ。
新型コロナは山口組の分裂抗争を実質的な休戦に追い込んだ。
「いま抗争事件を起こせば、暴力団壊滅運動が盛り上がるかもしれない。これ以上、警察や世論を敵にはできない。法律は破っても自粛ムードには従わざるを得ない」(別の六代目山口組関係者)
六代目山口組は高山若頭の出所と前後して、暴力事件を頻発させ、リスクを承知で攻撃をしかけてきた。その攻勢ムードにコロナで水を差されたわけだが、タダでは転ばないのがヤクザだ。六代目山口組の中核組織では2月頃から全国の直参に声をかけ、大量のマスクを集めていたという。