コロナ自粛の“巣ごもり特需”で売れた物のひとつに、カップ麺がある。中でも不動のトップブランド「カップヌードル」を販売する日清食品の業績は堅調だ。ジャーナリストの有森隆氏が、すでにコロナ後も見据えた事業展開を図る日清食品の「強さの秘密」に迫った。
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新型コロナウイルス対策で多くの人が外出を控えたことによる“巣ごもり消費”が追い風となり、カップ麺メーカーは好決算に沸いている。小中高校の臨時休校や在宅勤務が広がり、外出を避けるためにカップ麺や冷凍食品など保存できる食品をまとめ買いする動きが数字となって表れているのだ。
特にリーディングカンパニーの日清食品ホールディングス(HD)の2020年3月期の連結決算(国際会計基準)は、売上高にあたる売上収益が4688億円。前の期に比べ4.0%増えた。純利益は293億円と同51.5%増。2期ぶりに過去最高益を更新した。主力ブランドである「カップヌードル」や「どん兵衛」が変わらず支持されたのがその要因だ。
「カップヌードル」ブランドの年間売上高は初めて1000億円の大台を超え、昨年発売した「カップヌードル 味噌」も熱烈な人気を集めた。同商品は3種類の味噌を使用し、ショウガとニンニクでアクセントをつけ、濃厚ながらすっきりした後味が人気を呼んだ。十分な供給量を確保できない状況となったため、販売を一時的に休止したほどだ。
傘下の明星食品のカップ麺「チャルメラ」「中華三昧」などを加えた同社の即席めん事業の売上高は実に2378億円に及び、前の期より117億円増えた。ざっくりした数字になるが、この117億円が“巣ごもり消費”の特需分といえそうだ。
株価も堅調だ。東京株式市場で日経平均株価が下落する中、コロナの影響が軽微な「巣ごもり銘柄」が逆行高を演じているが、日清食品HDも例外ではない。3月27日の株価は10年来高値の9440円をつけた。昨年末比16.2%上昇したことになる。その後も高値圏で推移。5月22日の終値は前日比横ばいの9050円だった。